犯してはならないエラーを犯したバルサが、卒なくこなしたリバポーに完敗。この結果が生む精神的ダメージはでかい。
ラファ・ベニテス率いるリバポーは予想通り、守備的な戦術を採用してきた。2つのラインをきれいに並べ、狙うは中盤でボールを奪ってのカウンター。対バルサの定番となった戦法である。バルサもそれはよく分かっており、バレンシア戦の反省をふまえたプレーで対応。それは前半、うまく機能していた。
ゲームはバルサにとって、プラン通りに進んでいく。押し込み始めた15分、ザンブロッタが左サイドを駆け上がり、高精度のクロスを供給。これをファーに走りこんでいたデコがヘッドで流し込み、いい時間帯に先制点を獲得するのだ。さらにデコは18分にも、メッシのスルーパスに反応して惜しい場面を作っており、前半攻勢の紛れもない中心選手となっていた。スタンドに沸き起こるデココール。
リバポーは中盤でのボールの出所をほぼ完全にバルサに制圧され、チャンスらしいチャンスは作れずにいた。カウンターが脅威となることはなく、安心してゲームを進めるバルサ。注意するとすれば、エリア近くでのセットプレーくらいだった。
しかし前半も終了しようとしていた43分、やってはならないエラーをバルサは犯してしまう。さほど危なくない位置からのセットプレーが起点になっているのだが、まず簡単にエリア内にクロスを入れさせてしまったのが最初のエラー。そしてファーサイドのベラミーがフリーになってしまっていて、バルデスの位置取りも少し後ろだった。ベラミーのヘッドをバルデスはどうにか身体で止めたのだが、この時点でボールはラインを割っていた。まさに痛恨の失点。これでバルサは崩壊する。
後半、リアクションを示したいバルサではあったが、失点が与えたダメージは予想以上に大きかった。あれだけ前半は優位に試合を進めていたのに、後半はまるで人が変わったかのようなダメっぷり。リズムを失い、有機的な動きもなく、ただ時間だけが過ぎていく。モッタに替えてイニエスタを投入するも、大きな効果は得られない。逆にリバポーは値千金のアウェーゴールを奪ったことで、安定感を増していた。
事態がより深刻になったのは、チャビを下げてジュリを投入した頃から。中盤をデコとイニエスタだけにし、アタッカーが4人という超攻撃的布陣。しかしデランテロをおけば攻撃が上手くいくはずもなく、バランスを失ったチームは全くゲームをコントロールできなくなっていく。まさに混乱という言葉がピッタリと当てはまるような、悲惨な状況だ。リバポーは余裕を持って、バルサ陣内に攻め入ることが可能となっていた。
そして74分、右サイドからのクロスにカイトが抜け出しシュート。これはバルデスがどうにか弾くが、マルケスがクリアできなかったボールをベラミーが冷静にスペースへ流し、上がってきていたリーセが軽〜く決めてジ・エンド。混乱の挙句の、あまりにも重たい追加点。カンプノウ派絶望的なムードに包まれ、選手たちはさらに追い込まれていった。試合終了間際、デコのふんわりとしたフリーキックがポストに当たるというシーンもあったが、運にも見放されてはどうしようもない。
期待の2大クラック、ロナルディーニョとメッシはリバポーの徹底マークにあって、いいところなし。偉大なるデコは戻ってきたが、彼の頑張りだけではどうにもならない。このゲームで分かったことは、今のバルサが本格的にダメな状態にあるということだ。リアクションを示せず、エラーを犯し、自分たちのスタイルをほとんど実践することなく敗北したバルサ。最後の希望はエトーだが、彼だけではどうにもならなさそうな気配がきわめて濃厚だ。
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