強いバルサが、いきなり返ってきた。エトー効果恐るべし。
バレンシア、リバポーとの決戦での出場を見送ったエトーが、満を持しての先発復帰。そして彼はその存在がバルサというチームにとっていかに巨大かを、非常にわかりやすい形で証明してくれた。エトーがピッチにいることによって、攻撃はもとより守備でも好影響をもたらし、水曜日とはまるで別のチームであるかのような印象を与えるのだ。
前線からの積極的なプレス、絶えずデフェンサの裏を狙う動き。彼が注意を引き付けることで守備組織にスペースが生まれ、それがプレーにダイナミズムを呼ぶ。見方のクロスやパスに対するエリアへと飛び込み方も絶妙で、ここ数試合に比べ、ゴールチャンスは格段に増加していた。そして守備でもボール奪取に大きく貢献し、先発復帰戦としては100点満点。1ゴール1アシストと、まさにファンタスティック・エトー。
試合だが、そんなエトー効果もあり、序盤からバルサが試合を支配していた。それもただボールを持たされるのではなく、自らがボールをコントロールする展開。中盤でのプレスも効率よく決まり、ビルバオにまったくチャンスらしいものを作らせない。この日は右のジュリ、左のロナウジーニョのプレーがともに切れていて、相手に的を絞らせることもなく攻撃を仕掛けるバルサ。先制点は22分、そんなジュリの突破から生まれる。
中盤底のエヂミルソンからのパスを受けたジュリが、そのままライン深くまで切れ込んでいき、グラウンダーのクロス。中央にはエトーが詰め寄っていたのだが、ボールは彼に届く前にDFアモレビエタの足に当たってゴールへ。相手オウンゴールにて、バルサは先制点を獲得する。エトーの飛び込みに焦ったのだろう。
早い時間帯の先制点にバルサはグンと楽になり、ビルバオはグンと苦しくなる。ムードが高まり、押せ押せになるバルサ。そして追加点は程なくして登場した。29分、ロナウジーニョからのセンタリングにエリア内のエトーがポストとなり、中央のぽっかり開いたスペースに走りこんできたチャビが難しい体勢からボレーで決めて2-0。エトーの右足での落としも、チャビのシュートも見事。このゴールによって勝敗は決した。とても意味合いの大きな得点。
そして前半はもうひとつ、最後に見せ場がやってきた。40分、ロナウジーニョのスルーパスに反応したエトーが、左サイドを突破してエリア内へ。GKアランスビアは前に出てコースを消していたが、エトーは冷静にさっと流し込んで3-0。カンプノウのスタンドはフィエスタムードとなる。おめでとう、サムエル!
後半は前半にもまして、バルサのペース。カンプノウで3点差をつけられては気持ちも分かるが、気迫レベルはゼロに近く、バルサはプレッシャーなくゲームを支配した。決定的なチャンスも多く、まずは52分、ジュリのえぐりからイニエスタがシュート、ポストに当たってまたシュート!決めてしかるべきだったが、今日のイニにはゴール運なし。
続いて59分、ロナウジーニョのマジックショー。左サイドをドリブルで突破し、デフェンサを結局3人抜き去って最後はバセリーナ。肥満批判をプレーで跳ね返そうとする、彼の気合がよく現れていたプレーだった。この日のロナウジーニョは総じてプレーのレベルが高く、今度こそ復調を期待させた。これからもこの調子でいって欲しい。いや、いかなければならない。ゴールにふさわしいプレーを連発したクラックだったが、今日のところは彼にもゴール運はなかった。
ゲーム展開がとても上手くいったことでアスレチックの抵抗がかなり軽減されたが、全体として昨日のチームの動きは良好。エヂミルソンも効いていたし、チャビとイニエスタは自由にさせると本当にいいプレーを連発する。欲を言えば後半にもう一点くらい欲しかったのだが、多少は不満もあるくらいがいいということで。この流れを続けること、それがもっとも重要となる。
セビージャ、マドリー、バレンシアのすべてが引き分けに終わったので、それぞれと2ポイントずつリードを広げたというのも嬉しいニュース。
|