懸案だったフエラでの勝利を、ついに手に入れたバルサ。確実性を重視したカンペオン的プレーにより、特に危なげなくゴレアーダにて完勝。
ここ4ヶ月勝利のない、カンプノウ外での勝利。しかも油断は禁物のウエルバでのゲームとあって、バルサは序盤から非常に慎重なゲーム運びを見せる。無理に前線にボールを送り込むことなく、中盤から最終ラインでのパス回し。3バックから定番の4バックに回帰したことにより守備面での安定感はグンと増し、ボールを奪われたとしても早い段階で危険の芽は摘み取っていた。守備的ピボッテを置かないというリスクは犯したライカーだが、レクレのプレーも本調子ではなかったようで、事なきは得ている。
そんな中で光っていたのが、底を務めていたイニエスタの動き。この日の彼は中盤のバランス取りを主な任務としており、チャビとデコを輝かせるための"黒子"。レクレアティーボの攻撃を初期段階で潰しつつ、チームの攻撃の最初の基点となる。前線近くで躍動するイニエスタはすごいが、このような働きも出来るとは、改めてその才能にため息。
ゲームは3分、いきなりの先制パンチを決めたことで、圧倒的にバルサが有利な立場に立った。ハーフライン奥でボールを受けたデコから、エトーへボールが渡り、なんとゴールまで35mはあろうかという地点から強烈なシュート。ボールはGKの正面に行くかと思えたが、急激にカーブとドロップがかかり、ゴール左端に突き刺さった。右足であれだけのシュートが打てたのだから、怪我への不安はかなり解消されているのだろう。
当初から1点は覚悟していたであろうレクレアティーボは、いきなりの失点にも特にプランを変更する様子もなかった。自陣に2本のラインを敷き、カウンターを狙い続けてくるレクレ。バルサも立ち上がり同様に、堅実さを優先したプレーを継続。選手個々の能力では圧倒的なアドバンテージがあるバルサであるからして、プレッシャーをかけずに引いている相手に対しては、圧倒的なボールキープが可能。前半の支配率は70%を超えていた。
しかし完全に何事もなく45分を終えるのは難しいもので、レクレアティーボにも決定的なチャンスは作られている。23分、左右から揺さぶられ、最後はゴール正面でフリーのシュートを許すという場面。これは相手選手の完璧なシュートミスによって助けられ、さらに24分にはショートコーナーからヘスス・バスケスのシュートが右ポスト直撃弾。この2つのどちらかが入っていれば、勝負はややこしくなっていただろう。昨日のバルサには運もあった。
レクレアティーボに傾きかけた流れを食い止めたバルサは、再び支配権を取り戻す。そして前半終盤の連続ゴールにより、一気に勝負をつけてしまうのだった。まずは39分のザンブロッタの芸術的ゴールなのだが、これはなんとバルデスから42秒間、32ものパス交換を経てネットを揺らすに至った、非常にバルサ的なゴール。特に仕上げとなるロナウジーニョ、デコ、ザンブロッタとつながるエリア内でのパス回しは圧巻。ザンビーのシュートもバセリーナとお洒落で、最後のロニーのネットへの気迫の突進もスパイスとして効いていた。
さらにその3分後、デコが左スペースに流したボールを、シルビーニョがセンタリング。これをファーサイドのエトーが、角度の全くない位置から、右足のジャンピングボレーで叩き込んで勝負あり。2点目にショックを受けるレクレアティーボを一気に畳み掛ける、王者のプレー。エトーは41分のエリア内での稲妻ドリブルも含め、着実に復活への階段を上っている。
前半だけで0-3になったことで、後半は無理をする必要が皆無になったバルサ。アクセルは自然と緩み、一矢報いたいと圧力をかけるレクレアティーボに押し込まれる展開となる。後半のチャンスはほぼすべてがレクレが作り出したものであり、バルサは防戦一方。ただしエリア内で危うい場面を作られることはほとんどなく、またバルデスが集中を切らさずに好セーブを続けたことにより、ネットを揺らされるということはなかった。
そして最後は86分、イニエスタとのプレスによってボールを奪ったメッシが、右サイドから対角線ドリブルによってエリア左まで切れ込んでいき、きっちり流し込んで0-4。クラシコ3点目のリプレイのようなゴールだった。これが後半唯一の決定機だったが、それが入ってしまうところがクラック選手による能力差。いずれにせよ、バルサ完勝。決して派手な試合ではなかったが、押すところは押し、守るところは守り、規律を失わずに危なげなくフエラにて3ポイントを獲得した点は高く評価できる。こういった試合が敵地で今後もできれば、カンペオンは自然とついてくるだろう。
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