もっと楽に勝てたゲームだったが、思いのほか苦戦。
今週は各国代表戦があり、2週間のリーガ中断はあったものの、全体練習はほとんど出来ていない。しかしライカーは主力級たちを休ませることなく、普段どおりの先発メンバーを組んできた。外れたのは出場停止のデコと、マルケス、サビオラ。
勝負を長引かせると、後半に電池切れの可能性のあるバルサ。この日はキックオフ直後から積極的に、早めの決着を狙って攻めていく。2分にはチャビのシュートがポストをかすめるなど、完全にゲームを支配。ただしそれも長くは続かない。5分ほどでその圧力も鳴りを潜めだし、デポルティーボにチャンスが訪れるようになってくるのだ。デポルのパンチ力不足によって冷や汗をかくことは特になかったが、バルサのパスは中盤で途切れるようになる。主導権を握っているようで、そうでもない前半。
この日のデポルは、よく統率が取れていた。中盤から最終ラインにかけての動きには隙はあまりなく、アイディアとエネルギーに欠けるバルサの攻撃は、彼らを慌てさせるに至らない。フットボルは相手陣内でのスペースの奪い合い。いかに背後の空間を生み出し、そこを利用するかが重要なのだが、足元へのパスばかりのバルサには、それが出来ていなかった。ダメな時によく見られる光景だ。
けれども、一瞬の隙があれば活用してしまうのがクラックというもの。前半を0-0で終えようかとしていた44分、スター選手たちの個人技が炸裂する。自陣深くからのチャビのロングパスがその起点。それまでは上手くスペースをケアしていたコロッチーニの背後にボールが送り込まれ、ロナウジーニョが華麗なボール捌きでパス出し体勢を整える。そして狙いすまして最終ライン後方へ浮き球スルーパス。これにメッシが走りこみ、冷静にネットを揺らして見せたのだ。コントロール、パス、シュートのすべてが抜群。精神面からみて、タイミングも最高のゴールだった。
気を良くしたバルサは、後半開始と共にたたみかけていく。前半序盤と同様にデポルを圧倒し、さらに結果もついてきたので言うことなし。50分、これぞバルサといえる流れるようなパス交換から、エトーが決勝弾を叩き込んでくれるのだ。ロナウジーニョ、イニエスタ、再びロニー、チャビ、ロニーとつながり、メッシへのパスをカットしようとしたアンドラーデの不運なこぼれ球を、最後はエトーが拾ってズドン。美しく、そしてゲームをほぼ決める重要なゴールだった。
さすがにこれには、デポルも意気消沈。バルサはそれに乗じて、さらに追加点を狙っていく。特に決定的だったのは54分のシーン。イニエスタがエリアへ切り込んでいき、自分でも打てるところを中央のメッシへパス。しかしほんの少しタイミングが合わず、メッシはボールに触れない。これが入っていれば、あとは完全に省エネモードでも良かったろうが、事はそう簡単には運ばなかった。
68分、なんでもないボールをジオが不用意に頭で処理。これを途中出場したばかりのアドリアンに奪われ、そのままゴールを許してしまうのだ。これでデポルは引き分けという希望を見出し、活力を得る。バルサはバッテリーが切れ始めたか、後手に回っての守勢。本来であればもっと楽に勝てたはずだったが、無駄な労力を要してしまったことは反省点として取り上げられるだろう。
それでも最終的には3ポイントを獲得できたのが、何よりも重要。今日フエラでオサスナと対戦するセビージャには、プレッシャーとなるだろう。
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