ゲームの主導権は、常にバルサ。しかし決め手を欠き、どうにかこうにか3ポイント。
マジョルカが中盤での積極的なプレスを伴わない“亀の子戦術”を採用してきたため、バルサがボールを圧倒的に支配する。注目はサラゴサで見られなかった勝利に向かう姿勢だが、輝かしいプレーを行えたかは別にして、気持ちは伝わってきた。
とにかく、ボールはバルサが自由に動かせる。しかしいつものように、それは相手エリアに接近するまでであり、エリア内での最終的なプレーは上手くいかない。どうにかしようとしているのだが、ひと工夫が足りず、ガチガチに守るマジョルカの陣形を崩せないのだ。
右サイドのジュリはよく頑張っていたが、スピードのある崩しには持ち込めないので、クロスはただ送り込まれるだけという形で終了することが大半。左のメッシもアクセントにはなっていたが、機能していた、といえるほどでもない。エトーはポスト役が多く、シュートにまでたどり着けなかった。
この一週間、プレスの練習に時間を割いたことで、この点でのプレーは改善されていた。しかしその先の縦への突破という点では、まだまだ不完全。それぞれの攻撃陣の動きに流動性が少なく、2列目からの飛び出しやミドルシュートなど、オプションが少ないのだ。ダイレクトのパス交換なども見受けられず、引いて守る相手を混乱させるのは至難。前半の決定機といえるものは、13分のセットプレーからのマルケスのヘッドくらいだった。しかしポストに拒まれ、得点ならず。
得点チャンスでいけば、マジョルカのほうが決定的だった。30分、カウンターでホナスにエリア内単独侵入を許し、バルデスが倒してしまいペナルティを献上する。キッカーは、ホナス自身。なぜアランゴでもイバガサでもなかったのかは不思議だが、バルデスはここでガッチリ止める“離れ業”をやってのけた。兎にも角にも、ヒーローとなったバルデス。マジョルカは千載一遇のチャンスを逃し、ゲームはそのままハーフタイムへ。
前半終了時点では、まだ0-0にスタンドも余裕もあったのだが、後半になっても事態は改善されることなく、同じような展開で時間だけが経過していく。メッシが右へ、ジュリが左へ移動していたが、さして違いはなかった。状況が若干変化してくるのは、サビオラとチャビを同時投入した57分以降となる。
最後の20分ほどは、バルサには幾つか決定的な場面があった。チャビのスルーパスに反応したサビオラのシュートであり、エトーのほんのわずかに間に合わなかったスライディングであり、その他にも幾つか。しかしマジョルカの懸命の守備に阻まれ、そのままズルズルと試合終了は近づいてくる。焦りの見え出すバルサ、嫌な予感の漂うカンプノウ。そしてあと1分で90分が終わるというとき、歓喜(安堵)の瞬間は訪れた。
この日、何度目か分からないゴール前での混戦のなかから、サビオラが至近距離でのシュートを放つ。これは左ポストに弾き返されてしまうのだが、跳ね返ったボールはピンボールのごとく、ナバーロに当たってゴールへ。“バルセロニスタ”ナバーロによるオウンゴールという思わぬ形で、バルサはついにネットを揺らすことに成功した。ま、半分以上はサビオラのシュートによるものだ。
土曜日にマドリーが崩れ落ち、バルサの結果を知った上で行われたメスタージャでのバレンシアとのライバル直接対決にて、セビージャも撃沈。2位セビージャとの差が4へ、3位マドリーとは5へ広がり、4位バレンシアは6ポイント差という、なんだか最高の結果に終わった今週末。3チームによる星の潰し合いは次節以降も続くので、バルサは非常に意味のある3ポイントを獲得したといえる。あとは自滅をしなければ、大丈夫。
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