フエラで勝てない。
またも惨めなイメージを残し、ライバルたちに希望を提供する。
マドリーとセビージャが勝利したことを知ってのキックオフとなったバルサ。彼らに息を吹き返させないためには、3ポイントは絶対条件だった。エル・マドリガルは難地とはいえ、リケルメはすでにおらず、故障者も多く不安定航行を続けるイエロー・サブマリンには勝てるチャンスは十分にある。選手たちも実際、そう思っていただろう。
試合はいつものように、バルサ主導で進んでいく。中盤のチビッ子トリオを中心としてボールをコントロールし、なんとなくイマイチっぽいデフェンサたちをよくカバーもしていた。ヘタフェ戦の良かったイメージを継続させ、おそらくは何らかのリードを持って前半を終えられるだろうというのが、大方の見方だっただろう。しかしこの試合、肝心のR.E.M.トリデンテを始めとして、自慢の攻撃力に火がつかない。正確には、掴んだチャンスをモノに出来ない。
特に29分のエリア際からのエトーのシュート、42分のチャビのパスを受けてのロナウジーニョのシュートがことごとくGKビエラのセーブに遭い、ネットを揺らすに至らなかったのが痛かった。その他にもチャンスは幾つかあったが、相手の守りや不運、パンチ力不足などによってゴールならず。ビジャレアルがこれといった反抗を見せていなかっただけに、そのどれかひとつでも決まっていればと残念に思うが、仮定の話も空しいだけ。
そして0-0迎えた後半、基本的には前半と同じような展開となっていくのだが、バルサの選手たちからはリズムが感じられないようになっていた。ボールを持っていない選手の動きも少なく、単調なボール回ししか行えない。ビジャレアルに脅威を感じないということで、余裕をもちすぎたのだろうか。しかしそういったアクセルの緩みが、事態をややこしくしていく。56分、イエロー・サブマリンが突如牙をむくのだ。
高速のカウンターだった。ザンブロッタの位置取りが悪く、オフサイドをかけ損なったことによってカニからの縦パスがピレスへと渡り、そのままズドンと1-0。たった一つのプレーによって、ビジャレアルは自信を掴み、バルサは浮き足立つ。とてもカンペオンとは思えないことだが、それが現実だ。ピッチ上の選手たちはリアクションを起こす術を知らず、ベンチも動かない。そして15分以上経って行った交替が、シルビーニョに替えてグジョンセン。どうなっているのでしょうか。
ラテラルを外して、デランテロを投入。またも3-4-3の復活かと思われたのだが、実際はイニエスタをシルビーニョの位置に下げるという驚異の采配だった。左ラテラルにイニエスタ。。。これにより、ビジャレアルは右サイドに自由に攻撃に活用できるスペースを得る。いくら美白カンテラーノが優れた選手とはいえ、このポジションは規格外。ビジャレアルは余裕をもってプレーをし、バルサは何も出来ないという悲しい展開。そして84分、ホセ・マリのクロスをマルコスが落ち着いて決めて勝負アリ。もう奇跡なんて起きない。
とにかくこの試合の後半は、無力感の大安売りといった感じ。あたかもソックリさんばかりを集めてきた別チームのように、まったく何も出来ないままに時間だけが過ぎていく。こういう時こそどうにかするべきベンチも、アクションを起こせない。負けているのに、選手交代は1回だけ。ピッチサイドでアップをしていたのはウラゲールとジオのみであり、サビオラやジュリはベンチに座らせたまま。リズムを変えたくとも、中盤にオプションもない。チームとしての無力さが、酷い形で浮き彫りとなっている。
先週手に入れていたアドバンテージのおかげで、バルサはあと1週間は首位をキープできる。しかし2位セビージャとの差が1ポイント、3位マドリとは2ポイントとなり、リーガは再び何が起こっても不思議ではない状況へとなってしまった。自ら悪手を打ちまくり、タイトルに王手をかけていくチャンスを放棄し続けるバルサ。いくつもの問題が未解決のまま、バルサ一行はエジプトへと親善試合に出発する。解決の糸口を掴んで戻ってきてくれればいいのだが、期待は薄そうだ。
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