相変わらず、決定力に欠く。楽勝はお嫌いか。
このレバンテ戦、通常であればゴレアーダとなっていてもなんら不思議はない展開だった。特に後半は惜しいチャンスの連続。なのに自慢のクラックたちはその機会を放棄し続け、終わってみればゴールは28分のエトー弾のみであり、89分にはあわや同点にされかけるという冷や汗も味わっている。最低限の結果は手に入れたが、内容的には満足はしかねるものだった。
レバンテの戦術は、終始一貫してのカウンターアタック。積極的に圧力をかけての速攻ではなく、エリア前に網を敷き、ボールを奪っての速攻というタイプのカウンターだった。同様の戦法を採用してくるチームのように、最終ライン付近での守りは強固。特に前半はエトー、メッシ、ロナウジーニョらへのマークは執拗であり、フリーでボールを持てる場面はそうは作らせてもらえなかった。バルサはリズムがもうひとつで、単発的な攻めしか出来ない。
どうにかして、いいプレーをしようという意思は伝わってはきた。けれどもR.E.M.トリデンテはレバンテの執拗なチェックをぶち抜けるほどに、コンディションが優れない。スペースが上手に作れないのでスピードに乗った攻めというのも実現困難で、最後のパスがエリア内に通らないのだ。これはいつものパターン。ただし時折、サイド攻撃を活かすことでチャンスを演出できていたので、それを徹底していけば活路は見出せそうである。
しかし2列目からチャビ、デコらが積極的に崩しにかかった前半の中頃はリズムが改善され、バルサに連続してチャンスが到来する。エトーの先制点もその流れに沿ったものであり、久々に見られた分厚い攻めが実った瞬間だった。28分、イニエスタからサイドのメッシへとボールが展開され、メッシは中央へ切れ込むドリブル。そしてエリア内のロニーへパスを送ると、ロニーは突撃してきたチャビとワンツーを試みる。チャビからのリターンはGKモリーナの手で弾かれるが、こぼれ球をエトーが押し込み、待望の先制点をゲットするのだ。
リードを得たことで、バルサは勢いを引き寄せなければならなかった。けれども現実はそうはいかず、レバンテのペースにさせてしまうところが宜しくない。相手のパンチ力不足に助けられ、これといった危険なシーンは作らせはしなかったが、より強力なチームであればやられていた可能性も高い。アクセルを緩める悪い癖は、とにかくなくさなければならない。
後半、ここ数試合はガクンとリズムを低下させていたバルサだが、その点ではこの試合は改善が見られた。レバンテがより能動的にカウンターを狙うようになった影響か、最終ライン付近でのチェックに若干の甘さが出てきたのだ。マークに苦しんでいたエトーを左へ移動させ、ロニーを中央で“偽プンタ”としてパス出しに専念させたのも功を奏していた。エトーは左サイドでかなりのスペースを手に入れ、ロナウジーニョからのパスによって再三レバンテ陣内を侵すようになったのだ。右のメッシにも同じようなことが言え、サイド突破による決定機は数を大きく増やしていた。
ただし、立ちふさがったのはGKモリーナ。4分にはロナウジーニョのミドルシュートを、10分にはチャビの浮き球スルーパスから抜け出したエトーのシュートとロニーの至近距離弾を防ぎ、その流れで入ったかに見えたエトーのゴールはオフサイド。さらにトリデンテたち自ら外してしまったシュートなど数多く、どうしても追加点を奪えないまま、ズルズルと時間だけが経過していくのだった。唯一の救いは、今回はかろうじて1点のリードを手にしていることだった。
そして89分にはあわや同点というピンチを迎えたものの、運よくノーゴールに終わってゲームセット。楽に勝てていたゲームを、またも苦しいゲームに仕立てたバルサである。スタンドのレオ君は最後は嬉しそうだったが、もっと大満足でカンプノウを去らせてあげなくては。ポジティブな点は、とりあえずサイド攻撃を意識し、チャンスならば作り出せていたというところ。セビージャ、マドリーともに勝利したためポイント差は広げられなかったが、まずは最初の決勝戦を勝利で終えたことでホッとひと息。本当の勝負は、次節アノエタでのソシエダ戦となる。
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