相変わらず、チャンスをよく逃し続ける。もう少し楽に勝てた試合。
デコが直前に負傷していたため、ライカーお気に入りのチビッ子トリオによる中盤はお預けとなり、“保守的”なピボッテ式が復活。それ以外は、特にこれといって目新しいことはない。
前半のバルサは、今回もどこかいまひとつ噛み合ってない様子だった。ソシエダのラインを上げてのプレッシングに押され、自分たちのゲームを組み立てることが出来ない。「フエラで早くゴールを」という焦りがあるのか、どこか神経質な感じのするバルサ。しかしそれが“上手く波に乗ってない”ということなのだろう。ただ、降格ゾーンをさまようソシエダの攻撃にもパンチはなく、決定機といえるものを作ったのはバルサだけだったのが幸いか。
その唯一のビッグチャンスは開始早々の5分。中央へ切れ込んだメッシからジオへボールが渡り、グラウンダーのクロスをチャビが押し込むという場面を作ったのだが、これは惜しくもオフサイド。この時点では「いけるかも」という期待はあった。けれども後が続かず、どんどんと尻つぼみとなっていく。時折チャンスらしいものを作ることもあったが、そのほとんどは個人技によるものであり、バルサらしいパスによる崩しには至っていない。得点の匂いがあったのは27分、ロナウジーニョの浮き球スルーパスに抜けだしたチャビのシュート、GKブラボに阻まれたこのプレーくらい。
そして後半、バルサはこれ以上ないスタートを切ることに成功する。いきなりの46分、ロナウジーニョのスルーパスに反応したイニエスタがオフサイドラインを突破し、GKも抜いての先制ゴール。この願ってもない得点により、バルサは分かりやすく息を吹き返した。自信を得れば、ソシエダにバルサを止めるのは困難となる。高く保たれた守備ラインの背後を、エトーを中心として突きまくり、数多くのチャンスを手にしていくのだ。しかしエトーの抜け出しはギリギリのところでオフサイドの網にかかることも多く、またゴール前での若干の運も不足し、追加点には至らない。
ソシエダはカウンター戦術によって同点の機会を狙っていたが、これといった脅威は作り出すことが出来ない。わずかに枠をそれた53分のサビオのシュート、右サイドからのクロスにディアスがわずかに届かなかった72分のプレーが際どいシーンだったが、得点数リーガ最下位のソシエダにはそれが限界か。決まっていれば大苦戦のバルサだったが、このあたりもまだ運はある。
この試合2つ目のゴールを決めたのは、バルサだった。気持ちを楽にしてくれるゴールがどうにか欲しかった87分、自陣深くからのロナウジーニョのスルーパスにエトーが飛び出し、デフェンサ2人をぶっちぎりながらエリア際まで持ち込んで、今度こそきっちりゴール。ボールコントロール、ドリブルを仕掛けるライン、そしてロニーからのパス、全てがグッジョブ。これによりようやく、バルセロニスタは安心して試合を見られるようになった。残り数分ではあったが。
こうしてバルサは、貴重な貴重なフエラでの3ポイントを確保した。特に前半のプレーは褒められたものではなかったが、後半にリズムを取り戻したこと、そして久々となる複数得点を決めたことは評価していい。それにこの段階では、内容よりも結果が優先。それ以上は特にいうこともない。あとはこのまま、リードしたままシーズンを終えればOK。まずは今夜のベルナベウ決戦が、バルサに有利な結末となることを期待する。
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