最後の逆転優勝の望みも虚しく、ゴレアーダも虚しく、シーズンを通しての数々の失敗が響いての悲しい結末。
この試合、勝ってベルナベウの結果を待つしかないバルサは、序盤から積極的に攻めていく。コパ・カタルーニャの雪辱を晴らしたいナスティックの、果敢なプレスによって最初の15分ほどは苦労をさせられるのだが、この日のバルサのプレーには気持ちがこもっていた。ピンチの芽を早めに摘み取り、速いボール回し。そして20分、待望の先制点は訪れる。得点者はなんと、炎のカピタン・プジョルだった!
その前、エトーのゴールがオフサイドとなり、ヘッドがポストに弾かれた時はヤキモキさせられたバルサだったが、このプジョルのゴールと、16分のマジョルカ先制の知らせにて勢いづく。ナスティックは頑張れど、この流れはどうすることも出来ない。ここからは、もはやゲームはバルサのものだった。34分にはメッシがドリブルで中央へ切れ込み、そのまま思い切りよくミドルシュートをネットに突き刺す。
さらに37分にはフリーキックをロナウジーニョがゴール左隅へ叩き込み(0-3)、完全にバルサの勝利は決まったといってよかった。あとはサンチアゴ・ベルナベウでの結果待ち。この時点での風は、バルサへ吹いていた。希望に胸を膨らませ、ハーフタイムを迎えたバルセロニスタ。
後半、タラゴナのピッチ上で起こっていることは、もはや“どうでもよかった”。気になるのはマドリーで何が起こっているか。51分にはメッシがごっつぁんゴールを決めてリードをさらに広げるも、もはや大勢に影響はない。ナスティックファンは冷めていたし、クレの神経はラジオの音声に注がれていた。頼む、早くこのまま何事もなく時間よ過ぎ去ってくれ・・・。
しかし65分、バルセロニスタにとって楽しくないニュースが届く。レジェスのゴールによって、マドリーが同点に追いついたのだ。それだけでは、バルサの優勝は変わらない。しかしメレンゲには勢いがあり、彼らがこのゴールでさらに気勢を上げるのは想像ができた。嫌な予感が、クレを襲った。
そしてその予感は、78分に的中してしまう。コーナーからディアラがネットを揺らし、白組が逆転に成功。奇跡の夢が砕け散った瞬間だった。その知らせに、沸きあがるノウ・エスタディの観客席。呆然となる、ピッチのバルサ選手たち。きっかけとなったのは、ロビーニョのプレーだった。FIFAが規約を破ってまでも、この試合への出場を認めた2人の選手が絡んだ得点というのが、なんとも不愉快にさせてくれる。
あとはマジョルカの同点に淡い期待をかけるしかなかったのだが、それもレジェスのこの日2つ目のゴールにてジ・エンド。この間にナスティックに1点を返されはしたものの、そんなことは もはやどうでもよかった。ザンブロッタによる、5つ目のゴールもどうでもいい。10点獲ろうが、タイトルはやってこないのだ。マドリーが逆転した時点で、3連覇の夢は木っ端ミジンコ。タラゴナのピッチ上で行われていることは、すべて事務的な作業となる。
一週間前、エスパニョールに同点を許さなければ、この勝利はタイトルを決める勝利だった。しかし自らの手によって、バルサはそのチャンスを放棄した。「何も手にしてなかったのだから、何も失ってない」というライカーの言葉は正しい。しかしバルサは手に出来ていた栄冠を、わざわざライバルに譲ったのだ。自分たちのエラーによって、死んでいたはずのマドリーにタイトルを提供したというのが、なんとも悲しい。夢を見させてくれたマジョルカ、そして先週のサラゴサには大感謝するが、結局のところは自業自得。後悔先に立たず、の一年だった。
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