メーメト・ショルの引退試合として、バイエルン・ミュンヘンから招待を受けての、この夏最後の親善試合。勝負を決めたのは、このゲームがプレシーズン初出場となるメッシだった。
敵地アリアンス・アレナでの、プレシーズン最初にして最後の競合相手の真剣テスト。バイエルンは昨年のガンペール杯での敗北(4-0)への雪辱を期しており、さらにリーグも開幕しているなど、高いモチベーションとコンディションで臨んでくると予想された。
対するバルサは、そんな本気のグランデを相手に、ここまでのいいイメージが本物であることを確認することがこの試合の目的となる。先発メンバーはまったくの予想通り。メッシらコパ・アメリカ組は、後半からの出場となった。
ただの親善試合であることが勿体ないようなこのゲーム、まずはお互いが様子を探りあう形でスタートしていく。挨拶を交し合うように、ゆっくりとしたリズムでパスを回す両チーム。バルサが最初のチャンスを手にしたのは、10分が経過してのことだった。
バイエルンは各ラインを連動させてプレスをかけ、ここぞというところでのパスを許さない。バルサは例によってボールはコントロールしているのだが、各選手の動き出し、パス展開の速度がまだ本調子ではなく、バイエルンの守備を撹乱させるには至れなかった。この状況を打破しようと、トリデンテは頻繁にポジションを交換するものの、縦への崩しが乏しく、決定機は作れない。アンリは2回ほどチャンスを手にしたものの、これらを活かすことは出来なかった。
ゲームは15分まではバルサがリードし、それ以降は両チームが攻め合う感じ。どちらかといえば、バイエルンの方にバランスが傾いていた印象か。20分に
ハーフタイム、ライカーはまず4人の選手を交代させる。前線ではロニーとエトーが下がり、メッシとジョバニがイン。これはこれで楽しみな布陣である。そして後半、あまりリズムを感じられなかった前半に比べ、両チームともにプレーの激しさを増していくのだが、53分、リベリーと交替でベンチに下がるショルに対して、ちょっとした引退記念セレモニー。スタジアムは大きな拍手に包まれた。
その後はデコの強力なミドルシュートあり、アルティントップの惜しいプレーあり、アンリのヘッドあり、と幾つかの見所が続くのだが、依然としてスコアは動かない。気合で上回っていたのはバイエルンだったが、バルサ守備陣はよく持ち堪えていた。そしてそのまま引き分けかという空気が漂っていた84分、メッシが鮮烈に存在をアピールするのである。
ショートコーナーからデコが上げたセンタリングは、バイエルン守備陣に弾かれる。しかしエリア右隅に落ちてくるそのボールを、メッシはそのままダイレクトにシュート!これが見事にゴール左隅に決まり、バルサが均衡を破るのだった。ワンプレーで試合を決めるクラック・メッシ、健在。
ゲームはそのまま、0-1にて終了。バルサはプレシーズンの6試合をすべて勝利で終えるという、文句ない結果を手に入れた。リーガ開幕は10日後の25日。メッシがいきなり大きな仕事をしたことで、現段階では先発メンバー入りに大きく前進したといえる。さあここからはバルセロナに戻って、いよいよプレシーズンの仕上げだ。勝ちはしたものの、内容的にはまだ不十分。磨き上げていく箇所は、いくつも残されている。
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