カンプノウでは相性のいいビルバオを、前半であっさりとかわしての勝利。プレー意欲、ボールの回り共に復活の兆候が見えた。
この試合、ライカーはデコ、マルケス、アンリの3人を新たに先発起用する。開幕戦の出来から、次はベンチと思われたウラゲーは先発に残り、ミリートはベンチからのスタートとなった。このあたりは慎重なライカー。
この日のバルサの目標は勝利するだけではなく、先週ファンに与えた悪いイメージを一刻も早く払拭することだった。リズムよくボールを回し、速いプレスをかけ、積極的な縦への突破でチャンスを作る。1対1の勝負を避けず、戦う姿勢を示す。これらの目標は、ひとまずはクリアされた。
キックオフ直後はややビルバオの気合を感じるのだが、それも数分のみ。8分、エリア正面左で得たフリーキックをロナウジーニョが電光石火のシュートでゴール右隅に突き刺すと、流れは完全にバルサとなった。
大人しくなったビルバオを相手に、バルサはボールを支配する。積極的なプレッシングによって中盤で問題なくピンチの芽を摘み取り、どんどんとやりたいことをやっていくライカーの教え子たち。メッシの悪魔ドリブルは健在で、両ラテラルの攻撃参加も数多い。特に左のアビダルは強さ、テクニックともに際立った存在感を出していた。デコも精力的にピッチを駆け回り、やはりチームに不可欠な選手であることを再認識させた。
そして注目のロナウジーニョだが、ラシン戦とは打って変り、昨日は非常に意欲的なプレーを見せる。ボールを失った後もプレスのために走り、ドリブルでの1対1勝負も仕掛けていくクラック。まだ本調子とはいえないが、前向きな姿勢はよく伝わった。
30分には、ロニーからアンリへの鮮やかなスルーパス。このボールをアンリとGKイライソスが競り合った際、アンリの足がイライソスの顔面に入り、口の中を切るアクシデント発生する。さらに審判はイライソスのファールと判定し、ペナルティまで与えられた。微妙なジャッジだっただけに、イライソスにはお気の毒様。ロナウジーニョが確実に決め、ゲームは2-0。バルサの勝利は、この時点でほぼ確実なものとなる。
ゲームは2点差、気持ちはあっても思うようなプレーが出来ないビルバオ、そして迫力を取り戻したバルサ。こういった状況により、後半はややペースダウンした中で行われていく。一番の見せ場は58分。アビダルのセンタリングに狙いをすまして放ったアンリのシュートが左ポスト直撃、こぼれ球にデコ、さらにメッシが猛烈なシュートで襲い掛かるのだが、いずれも惜しくもイライソスの奮闘によってゴールを割らなかったシーン。怒涛の波状攻撃だっただけに、決まっていれば大いに沸いたのだが。
ゴレアーダを防いだビルバオはその後、実にあっさりと1点を返すことになる。71分、センタリングを競り合ったバルデスの不十分なクリアを、スサエタがミドルシュート。これがボール前の密集をすり抜け、バルデスの懸命の戻りも間に合わず、ゴールに転がり込むのだ。バルサのエラーではあったが、スサエタへの努力賞といったところか。この日のスサエタは前線でひとり光っていた。
点差的には分からなくなったゲームだったが、その直後の審判のサービスジャッジのおかげで、バルサは再び安全なリードを手にすることになる。73分、エリア前の混戦からトゥレの放った強烈なシュートが、クロスバーに当たって直角に地面を叩く。どうみてもラインを越えているようには見えなかったが、審判はこれを数十秒?の後にゴールと判定するのだ。あまりにも迫力のあったトゥレのシュートに、審判は幻影を見たか。いずれにせよ、すっきりはしないが有難いゴール。
その他にも、メッシの随所でのキレたプレーあり、公式戦デビューを果たしたジョバニやミリートあり、マルケスとコイキリの退場ありと、なんだかんだと盛りだくさんのゲームだった。一番の収穫は、チームが明るいイメージを取り戻したこと。ライバル・マドリーはエル・マドリガルで0-5ゴレアーダを決めている。バルサも勝負は、次のフエラでのオサスナ戦だ。
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