開幕試合でのサンタンデール戦、そして前節ビルバオ戦後半の悪いイメージを払拭したいバルサだったが、なんら改善の感じられない0-0エンパテ。
先発メンバーは若干の“勇気”をもって修正を加えてきたライカーだったが、選手たちのパフォーマンスはそれによって好転することはなかった。ボールはいつものごとく、バルサが支配する。しかしそれはオサスナにとっていつものパターン。彼らがそれだけで焦ることはない。オサスナは中盤でここという局面で激しくプレスを加え、バルサの攻撃を遮断した。
バルサもまた、オサスナのカウンターを予防し、相手守備ラインを混乱させようと中盤でファイトするのだが、いかんせんプレーの速度が遅く、連携も未熟なためにチャンスすら作ることが出来ない。バルサの最初の決定機は35分(!)、イニエスタからジョバニへのスルーパス。しかしこれは惜しくもGKリカルドに足で弾かれ、得点には至らなかった。
オサスナ最高のチャンスはその直後、38分。チュラムの致命的エラーからボールを奪取したポルティージョがバルデスと1対1になるのだが、放ったシュートはわずかに枠の外。バルサは命拾いをする。
そして40分、再びバルサの決定的チャンス。またもイニエスタによる見事なスルーパスにデコが反応するのだが、これまたリカルドの身体を張ったセーブの前に防がれている。ゲームはそのまま無得点のままハーフタイムに突入。何の予感もなかったゲームの、正当な結果といえる。
後半、試合はバルセロニスタの冷や汗で始まる。開始早々の46分、ハビ・ガルシアの強烈なシュートがゴールを襲い、これをバルデスがかろうじてパンチングで弾くのだ。このご挨拶にて目覚めてくれれば良かったのだが、バルサの面々はそれでも眠りから覚めることはない。ゲームは何の進展もないままに流れていき、ライカー“決死の”選手交代もなんら効果を発揮しなかった。66分、思い切った二枚代え。しかもベンチに下がったのは、“アンタッチャブル”ロナウジーニョだった。
ロニーが代表戦帰りでコンディションが優れず、まったく目立った動きをしていなかったのは事実だが、ひとついえるのは重要な得点源となりうるフリーキッカーが不在となったこと。このお寒いゲームに関しては、デコに代えてチャビでも良かったかもしれない。
この選手交代を経ても、試合に一切変化は起こらなかった。むしろこの試合で一番マシな働きをしていたイニエスタが右サイドへ移動したことで、チャンスの芽はさらに減少した感はある。そしてさらに無為な時間が過ぎていき、ライカーはついにボージャンをピッチへ送り出す決意を固めた。78分のことだった。
しかしフットボルは一人でやるものではない。この時点でバルサはチームとしての勝利への執念を失い(最初からあったのかどうか不明)、奇跡の連携、あるいはクラックの超絶的な個人技によってのみ得点が可能という状態だった。いくらボージャン少年が新鮮な風を送り込もうと、それに応えられない年長選手たち。サンタンデール、すなわち昨シーズンの惨めなイメージはまたも再現され、クレにはただ失望感だけが広まった。
収穫は慰めにもならない1ポイントと、ボージャンのトップチーム公式戦デビューのみ。開幕3連勝のマドリーとの差は早くも4ポイントに開き、バルサに対する風当たりは確実に強まることになるだろう。特に、ライカーへは批判の集中砲火が予想される。次からはいよいよ後がない、チャンピオンズとリーガのカンプノウ3連戦だ。
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