オサスナ戦の惨めなエンパテに、とりあえずはリアクションを示したバルサ。
パンプローナにて無様なイメージを晒したライカー&選手たちに、どれだけのやる気があるのかを確認する。せっかくのチャンピオンズ開幕戦なのに、そんな役割を与えられてしまったこの試合。バルサは悪いムードを断ち切るため、可能なかぎりでの気持ちいい勝ち方を求められていた。
そして前半、選手たちはそれなりに気合が入っているところを見せる。ボールはいつものように支配し、今回は横パスをただつなぐだけでなく、チャンスも作り出していた。ここはオサスナ戦から改善されているところ。
週末はチャンスらしいものを作るまでに半時間を要したバルサだったが、この日は7分にロニーとのワンツーから抜け出したアビダルが、素晴らしいセンタリングによってスタンドを沸かせた。惜しかったのは、アンリがこれに間に合わなかったこと。アビダル、古巣を相手にMVP級の働き。彼のフィジカルはすごい。アビダルは11分にも鋭い突破から良質のクロスを送り、デコの決定的シュートをアシストしている。これはGKベルクートルがファインセーブ。
とにかく早く先制点がほしいバルサは、その後もパッとしないリヨンを相手に攻め続ける。そして20分、ついにその時はきた。左ショートコーナーから、ボールを受けたメッシがマークをかわしてエリアに侵入、スピードあるクロスをゴール前へ送り込む。これをDFクレルクがクリアしようとして、嗚呼無情にもオウンゴール。彼が触らずともゴールになっていた可能性も高いが、これは危険なボールを送り込んだメッシの勝利である。
フランス王者リヨンは、この失点に刺激を受けて反撃を開始する。しかしチャンピオンズの舞台に気合の入るバルサはそれを跳ね返し、あわや追加点という場面を演出していく。その際たるものが37分のカウンターアタック。ロナウジーニョから最高級のパスがメッシに出され、メッシはさらりとマークを抜いて、狙いすましたシュートを放つのだ。これにはGKもどうしようもなかったのだが、ゴールライン寸前でDFクレルクがクリアしてゴールならず。惜しい!
この日のリヨンはイマイチの印象だったが、彼らには脅威の飛び道具ジュニーニョがいる。バルサはリヨンにほとんどシュートすら許してはいなかったが、“まさか”を避けるためにも一刻も早い追加点が求められていた。
後半もいきなり、メッシの決定機で幕を開ける。バルサはパスの連携から、最後はチャビがエリアをえぐる対角線パスを送り込む。走りこんでいたのはメッシ。しかしアルヘンティーノのシュートは高く浮き、絶妙のアシストを活かすことは出来なかった。
そして試合はファンの希望にそぐわぬ形で、ペースを落としていく。前半はまだ活動的だったロナウジーニョは姿を消し、アンリもおよそ行方不明となり、メッシだけが頑張ってリズムを作る状態。ついにはスタンドの一部から、ロナウジーニョに対する口笛も現れ始めた。ただし、それに対抗する拍手も送られていたのも事実ではある。
バルサにとってラッキーだったのは、アクセルを緩めるバルサに対し、リヨンがこれといった危険を与えなかったことだ。ゴール前にボールが来ることはあっても、楽に処理をするデフェンサとバルデス。しかしジュニーニョがいる以上、2点差をつけなければ安心は出来ない。そしてライカーは空気を換えるべく選手交代を行っていく。まず下げたのはロナウジーニョ。スタンドは拍手と口笛が入り乱れていた。
今回、ライカーの采配は効果を発揮する。ロニーに代わって入ったイニエスタが、プレーのリズムを変えたのだ。彼が攻撃に絡むことで、プレーにスピード感が出る。まだチャンスは単発的ではあったが、68分にはチャビのスルーパスを受けたアンリのシュートが、72分にはデコのシュートがリヨンゴールを脅かしている。これはいずれもGKベルクートルがファインセーブ。
ようやく念願の追加点を決めたのは、81分になってのことだった。主役はまたもメッシ。溜めを作ったデコからイニエスタへパスが送られ、イニエスタはマークをかわしてメッシへとパス。ゴール正面でフリーとなっていたメッシは、ネット右に突き刺さるシュートにてリヨンに引導を渡した。そしてメッシは87分、スタンドの喝采の中ボージャンと交代をしている。
さらに90分、ティティ・アンリがバルサでの公式戦初ゴールを決めたことで、試合はまずまずハッピーなムードにて終了。デコのスペースへのパスにジョバニが走りこみ、シュートを放つもこれは惜しくもベルクートルに弾かれ、そのこぼれ球を難なくアンリが押し込むというものだった。ごっつぁんゴールではあるが、アンリにとってホッとする得点だっただろう。これで吹っ切れることに期待。
最終スコアから得る印象以上に、バルサは苦戦を強いられた。それもリヨンに押し込まれたわけではなく、バルサ自身にもう一歩決め手が欠けていたのが原因だ。ただ、オサスナ戦に比べれば、イメージは格段に良くはなっている。あとはセビージャ、サラゴサとのカンプノウ2連戦に力強く勝利することで、疑問を確実に払拭してもらいたいところだ。
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