低調なリズムによる、退屈なゲーム。ただし、勝利という目的は遂行された。
この試合には、ポジティブな点が3つほどある。まずひとつが内容はどうあれ、勝点3を獲得したこと。そして先制点をティエリー・アンリが決め、怪我人たちも何事もなくピッチに戻れた。これらの点は、なにはともあれ祝福しておこう。
ライカーは先発に、復帰組から2人を起用している。中盤のトゥレと、ラテラルのザンブロッタ。メッシに休養を与えるため、ジョバニ・ドスサントスを先発にしたのはちょっとしたサプライズだ。どちらかというと希望はボージャンだったが、ジョバニは2得点に絡む活躍で、きっちり結果を出してくれている。
アルメリアは序盤から、引いてガッチリと守りを固めつつ、強力なプレスによってバルサの中盤に自由にボールを持たせない。ゲームのリズムを作るチャビ、イニエスタが前を向いてプレーすることは非常に困難で、バルサはボール支配率こそ高いものの、いつもの宜しくないゲームと同様に、ただ後ろで持たされているというのが現実だった。パスコースが見つからず、各人がボールを持つ時間が長い。リズムはこの上なく悪かった。
この試合のスローガンは、「アンリを探せ」。選手たちはそのミッションを遂行すべく、フランス人デランテロへの縦パスをどうにか送ろうとする。しかしどうにもアンリとの呼吸、タイミングが合わず、ちぐはぐなプレーとなるばかり。引いた相手を崩すための縦パス戦術だったのだが、パサーへの徹底マークとカウンター戦術により、アルメリアはバルサの思うようにはさせなかった。かといってピンチもほとんどなく、退屈なゲーム。
それでも絶対、チャンスは訪れるもの。38分、アルメリアのささやかなカウンター攻撃に対してのバルサのカウンター。トゥレ・ヤヤからの浮き球スルーパスに、ジョバニがバッチリのタイミングで抜け出すことに成功する。メキシカンはエリアにそのまま突入し、ポルテーロとデフェンサを引きつけて左のアンリへとパス。これはオフサイド臭く、かつポルテーロに当たりもするのだが、こぼれ球が運よくアンリの前にいき、デランテロは無人のゴールにそれを流し込んだ。
数少ないチャンスをモノにし、1点のリードを手にバルサは後半を迎える。アルメリアは少なくとも勝点1を手土産とするため、幾分かは攻撃的となっていた。スペースがもらえるバルサとしては、ありがたいことである。チームとアンリとの呼吸も徐々に改善し、ティティはゲーム終盤に少なくとも3度、相手ラインを突破してポルテーロと対峙することに成功している。効率性には恵まれず、追加点とはならなかったが、明るい材料とすることは出来るだろう。
試合を決めることが出来たのは、試合も終わりに近づいた80分。決めたのはその直前にロナウジーニョと交代でピッチに入っていたメッシだった。ロニー交代時、スタンドからは競い合うように拍手と口笛。ただ、メッシの点はペナルティによるものである。立役者は、ジョバニ。エリア左方面からドリブルで突っ込むと、デフェンサの足がかかったか、倒れこむドスサントス。微妙な判定だったが審判はペナルティスポットを指差し、メッシが余裕でこれを決めたのだった。
そしてそのまま試合は終了。リズムが悪く、チャンスも少なく、カンプノウの観客が求めるには程遠いレベルのゲームではあったのだが、勝利という最低限の任務だけは果たした。ちょっとした空気の入れ替えが必要であるのは間違いないので、怪我人も復帰してきたことであるし、お疲れ気味の選手は思い切って休ませるのが良さそうだ。
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