寒いホセ・ソリージャで、あまりにもお寒いゲーム内容。見てて悲しくなる試合だった。
メンバーを見るだけなら、バルサがあっさりと勝利を決めていておかしくない対戦。しかしバジャドリは序盤から怯むことなく、スター選手たちに積極的にプレスをかけていく。チーム全体として疲れが出ているのか、バジャドリの速くしつこい寄せに苦しみ、バルサは全くといっていいほどエリア付近でボールを回すことができない。そしてボールを奪われては、セスマとシシの効果的なカウンターによって、逆にゴールを脅かされていた。
この日はどうも、マルケスが不安定。バルデスがかろうじて防ぎはしたものの、12分にマルケスのクリアミスからシシにあわやというシュートを放たれ、15分には、セスマによる絶妙なパスをゴール前に流し込まれ、ジョレンテがこれに詰めて先制点を決められるのだった。
バルサはこのゴールによっても、目を覚まさない。相変わらずバジャドリのプレスによってチャビとイニエスタを封じられ、ボージャンは前線で孤立。ロナウジーニョは左から突破を図るものの、切れもスピードもパワーもない彼に、組織立った守備ラインを打ち破ることは出来なかった。ただひたすらに、ボールを失うクラック。期待のメッシも鳴りを潜め、得点の匂いすら感じられないプレーが繰り返された。40分を過ぎるまで、枠内シュートがゼロなのだ。
バルサにとって幸運だったのは、この日はバルデスの出来が素晴らしく良かったことと、バジャドリにパンチ力が不足していたことだ。エリア付近までは詰め寄られるが、それ以上は許さないバルサ守備陣。そして前半終了近くになり、引き気味になったバジャドリに対しボールを回せる時間帯がやってくる。圧力をかけるでなく、ただ引いた相手ならば攻略の糸口はある。41分、チャビからエリア内に絶妙なスルーパスが入り、デフェンサとの勝負に打ち勝ったロナウジーニョが決めて1-1の同点。ロニー、流れの中で今季初ゴール。とりあえず雰囲気よく、バルサはハーフタイムに入ることは出来た。
後半、流れはバルサの方に傾いてはきていた。ロッカールームでライカーの指示を受けた選手たちは前半に比べて積極的に動くようになり、シュートの数も増えていく。決定的だったのは58分、メッシがドリブルで粘り、エリア左からボージャンの放ったシュートは惜しくもポスト直撃。これが決まっていれば、そのまま押し切れた可能性は高かったのだが・・・。
勝点3をどうにか手にしたい両チームは、70分前後から選手交代によって流れを引き寄せようとしていく。ライカーはトゥレを下げグジョンセンを投入し、またあろうことか、ボージャンを下げてジョバニ・ドスサントスを入れるという采配を取る。そして結果として、これは裏目に出た。中盤でバランスを失い、完全なるダメバルサに逆戻りとなってしまったのだ。
逆にバジャドリは投入したビクトルが存在感を発揮し、セスマと共に次々とゴールチャンスを演出。ここから先は、バルデスのセーブSHOWタイムだった。78分にはセスマからの浮き球スルーパスにビクトルが飛び出し、間一髪のところでバルデスが身体を張ってセーブ。続いて83分には、今度はビクトルから右サイドのセスマにボールが渡り、飛び出したバルデスが1対1からそのシュートを弾き返してピンチをしのいだ。まさに守護神、バルデス様さまである。
バルサはもがくも、闇雲にボールを回すばかりで効果的な崩しは出来ず、そのままあえなく時間切れ。今季まだ本拠地での勝ち星がなく、降格ゾーンをさ迷っている“弱小チーム”に対し、まったくいいところを見せられないままに引き分けるのが精一杯だった。この試合での収穫はただ二つ。ロナウジーニョがようやく流れの中からゴールを決めたことと、ボージャンがいい試合をやったこと。MVPがバルデスというのでは、話にならない。
かろうじて2位はキープしているものの、メスタージャでゴレアーダを決めたマドリーとの差は4に広がり、ムードでも明らかな違いがでてきた。このまま白組に引き離されたくないのなら、相当な改善を果たす必要があるバルサ。寒い。寒すぎる。
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