勝利とはいかなかったが、グループE首位通過という目的は達成された。
ゲームはこの上なく上々な滑り出しを見せる。開始早々の3分、カウンターによる攻撃。チャビからメッシへとボールが渡り、右へはたかれたパスをボージャンがワンタッチでリヨン最終ライン裏へと送り込む。これが見事に逆サイドへ走りこむイニエスタに通り、美白カンテラーノは難なくネット右へと突き刺した。パスの流れが美しい、芸術的なゴールだった。
バルサはこれでグンと楽になり、ゆとりを持ってゲームをコントロールする・・・はずだった。しかしここはチャンピオンズ、そう簡単に事を運ばせてはくれない。直後の7分、ゴールにはつながりそうにない遠い位置からのフリーキック。これをなんとかしてしまうのがジュニーニョなるスペシャリストであり、彼の蹴ったボールは誰にも触れることなくバルデスの前で上手く弾んだ末、ゴールに入ってしまうのだった。呆気なく、バルサは同点に追いつかれてしまう。
その後も両チームによる攻め合いが続き、14分にはファビオ・サントスがザンブロッタからボールを奪ってのシュート(バルデスが好セーブ)、その直後のトゥレ・ヤヤによる豪快なミドルシュート(GKが横っ飛びセーブ)などとチャンスを作りあった。
序盤、ゲームはバルセロナとリヨンによる中盤での激しい潰し合いとパス展開によって、いいフットボルが繰り広げられていた。ただそれも10数分を過ぎるまでで、そこからは両チーム共にペースが低下する。28分にはゴール前の混戦(ゴブの至近距離弾をバルデスが身体で止める)からジュニーニョがあわやトドメを差す、という場面があったが、これはかろうじてアビダルがクリア。これが前半の最後の見せ場となった。
ハーフタイム直前、トゥレへのカードに抗議したライカーが退場となる“事件”あり。
後半、低下したゲームのリズムは上がらなかった。バルサもリヨンも引き分けでOKという算段だったか、序盤のような激しさはない。それでも思わぬところでスコアは動くもので、57分、ボージャンのパスに走りこんだメッシが倒されてペナルティ獲得。これをメッシ本人がきっちり決め、バルサはまんまと1-2とリードを奪うことに成功したのだった。
となれば、ボールを回すバルサにとっては非常に有利な展開。前半に飛ばしすぎたか、元気のなくなったリヨンを相手にボールを支配し、時間を潰していくバルサ。67分には左から切れ込んだイニエスタのマイナスのセンタリングをフリーでグジョンセンという場面もあったが、これはGKの好守に阻まれている。出来ればこれは決めておきたかったところだ。
その後も特に見所なくゲームは行われていくのだが、リヨンは試合の流れを変えそうな選手、ケイタをピッチに送り出していた。そして結果的に、この采配が功を奏することになる。鋭い切れ込みで数度存在感を出していたケイタだったが、一番の仕事は79分のエリアへの侵入だった。これにアビダルが耐え切れず、思わず足がでてペナルティを献上してしまうのだ。ジュニーニョがこれを決め、試合はまたもエンパテとなる。
勝てば文句なくグループEの1位が決まるバルサだったが、他会場でシュツットガルトがレンジャースに勝利していたため、引き分けであっても1位は決まる状況だった。よって残り10分少々、無理に勝点3を取りにいく必要性はなかった。バルサはそれまでと同様にボールを無難に回し続け、目的を達成した。
正直なところ大半はスペクタクルからは遠い試合だったが、泥臭くともチーム一丸となって目標のために力を尽くし、遂行したことは評価できる。修正すべき点はもちろん多くあるのだが、とりあえずは1/8ファイナルを確保し、カンプノウでの最終節を消化試合に出来たので好しとしよう。今度こそ、ボージャンのチャンピオンズ最年少得点記録に期待!!
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