セグンダBチームへのお年玉。最後に追いつかれ、2008年初戦を勝利で飾れず。
雨が降り注ぎ、寒さに凍えた新年の初試合は、なんともパッとしない結果となった。敵地での第1戦を0-3で勝っていたバルサにとって、このゲームにモチベーションを見出すことは難しかった。選手にとっても観客にとっても、燃える要素のほとんどないタイプの試合。敢えて見所を探すとするならば、それはデビューを飾ったカンテラーノ含め、出番に恵まれない選手たちのプレーとなる。
ジョルケラの負傷によってチャンスの巡ってきたオイエル、カンテラ選手のビクトル・サンチェス、長期リハビリから復帰したエヂミルソン、控え組となっているシルビーニョにエスケーロ、チュラムなど、あまり見ない顔がずらりと揃った先発メンバー。この中で特に気合が入っていたのは誰あろう、出番がなくともひたすらに腐らず仕事に励む男、サンティ・エスケーロだった。
国王杯こそがアピールの場となっているベテランバスク人デランテロは、開始早々に気を吐いてみせる。というか、彼に運が転がり込んでくる。2分、ボージャンとの壁パスから、デコの放ったシュートがエスケーロのおケツに当たり、そのままゴールに転がり込んだのである。そしてさらにその8分後、ボージャンの右サイド突破から、中央にフリーでいたエスケーロへ絶妙のパス。これをサンティは難なく押し込み、バルサは序盤でいきなり2点のリードを奪うことになった。これで第1戦と合わせ、スコアは5-0。試合の興味は完全に失われた。もちろん、エスケーロにその罪はない。
さすがにそうなってしまうと、いつも元気なボージャンやジョバニといえども、モチベーション溢れるプレーでピッチを駆け回るのは難しい。フォームを上げていくべきデコも、それなりのプレーとなる。半年ぶりに戻ってきたエヂ神父の慣らし運転としては、まあ悪くはないのだが、観客としてはさすがに辛い。しかし雨の中、よく3万人も集まったものである。カンプノウの誰もが寒さに震えながら、10分以降はこれといった見所もなく、試合はハーフタイムへと突入していく。
後半になっても、寒いゲームが熱くなることはなかった。雨は止むことなく、スタジアム全体を冷やす。ゴールどころか、そのチャンスすら現れない。15分すぎにボージャンがチャンスを掴むのだが、このファンへのささやかなプレゼントの機会も、彼には非常に珍しく、シュートが枠を捉えずサヨウナラ。この日はボージャンの日ではなかったようだ。さらにその後、グジョンセンがGKマエストロと1対1の場面を作っているが、こちらも得点には至っていない。
そんな中、バルサのやる気がほぼ完全に失われていると見たアルコヤノは、新年の思い出作りに一花咲かせようと圧力をかけてくる。そして68分、彼らの最初の夢が実現する。エスケーロのエリア内でのブロックがハンドの判定となり、ペナルティが宣告されたのである。キッカーはバルサカンテラ出身のペローナ。本来彼が夢見ていた状況とは異なりはするものの、憧れのカンプノウで、しかも公式戦でゴールを決めた感動を、彼はずっと忘れないだろう。
スコアが2-1となったことで、アルコヤノはさらにやる気を見せてきた。「今度は“奇跡”ともいえるエンパテを目指す!」アルコヤノは燃えていた。選手の能力的に大したチャンスは作れないものの、精神的に上がっているアルコヤノに、バルサは押し込まれ気味となっていく。これに対してバルサは反撃の芽を摘み取ろうとトドメの追加点を目指すも、ボージャンの2つの決定的なシュートも、エスケーロのあわやハットトリックという決定機も、クロスバーなりラインギリギリでのクリアなどに阻まれ、ゴールとはなっていない。
そしてゲームはそのまま2-1のまま終了すると思われていた。けれども89分、アルコヤノはエリア前で華麗なパス展開を行うと、バレーナが速いクロスボールをサイドから流し込み、これをフリーとなっていたアルナウがズドンと突き刺して2-2。信じられな〜いのだが、残念ながら本当にあった残念な話だ。目撃者が少なかったことが救いとはいえなくもないのだが、新年早々に雨の中わざわざ応援に行ったファンの気持ちを考えると、いたたまれない。次も同じような試合をしたら、それはもう終わっている。
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