なにがなんでも欲しかった3ポイントを、どうにか確保した試合。内容は優れなかったが、結果第一なので良しとする。
どのような形であろうとも、今はとにかく勝利することこそが重要と語っていたエトーの言葉をそのまま実行したようなゲームだった。90分を通じていいフットボルをしたのはマジョルカの方で、バルサは特に前半はリズムが掴めず四苦八苦。しかし集中力を切らさず守り、セットプレーから先制したことでバルサは流れを手に入れる。フットボルの女神は、まだバルサを見限ってはいない。
この試合、ライカーは成果を残したバレンシア戦のメンバーに先発を戻している。調子が上がっていないデコはベンチスタートとなっている。しかし気合の見えるマジョルカの前に、バルサのプレーはメスタージャのようにはいかない。よくあるパターンとしてボール支配率だけが高く、内容は乏しいのだ。バルサの選手たちはどこか自信をなくしているようで、中盤でパスがつながらない。リズムも悪く、流動性とアイディアに欠けるパスは、マジョルカ守備陣にことごとくカットされていた。
マジョルカの基本戦術は、カウンター。中盤でボールを奪うと、すばやくバルサ最終ライン後方へパスを流し込み、グイサを中心とした攻めでバルデスのゴールを脅かすマジョルカ。9分、グイサが単独でエリア内に持ち込み、そのままミリートをかわして放ったシュートは、寸でのところでポスト右をかすめて行った。入っていてもおかしくはないシュートだった。
その後もバルサはボールを回すものの、ただ回しているだけ。脅威的といえるプレーは、ごく少数だった。可能性を感じられたのは、14分のイニエスタの単独突破からのシュートと、いくつかのセットプレーくらい。どうにかしようという気持ちは分かるのだが、冷静に崩しきれないもどかしさ。唯一それっぽい崩しがあったのは39分。ゴールライン際にてジョバニがボールを奪い、すかさずエトーがエリア内にセンタリング。これにチャビが走りこんでシュートを放つのだが、大きく噴かしてゴールならず。
後半になり、起爆剤としてグジョンセンに代えてボージャンをピッチに送り込むライカーだが、それだけではリズムはさほど改善されなかった。プレー内容は前半とさほど変わることなく、中盤と前線の距離は遠かった。この流れを変えたのは、ひとつのコーナーキック。62分、どうせいつものように入らないだろうと思っていたコーナーから、マルケスがニアに飛び込んでネットを揺らしたのである。バルセロニスタも、アッとビックリ。そしてつくづく感じる、セットプレーの重要性。
運よく先制点を奪ったことで、バルサのリズムは改善される。心に余裕が生まれ、パスにもゆとりが出てきたのだ。ジョバニに代わってピッチに入ったアンリも、いいプレーをやっていた。74分にはオフサイド判定となったものの、プジョルのパスをファーサイドから押し込むなど、アンリっぽいプレーも披露。同様の使い方をしていけば、オプションとなってくれそうな予感は漂っていた。
その後もマジョルカは試合を諦めることなく、カウンターを中心とした攻めでバルサゴールをうかがっていた。ただし、前線のカギであるグイサがダメージを受けて交代したことにより、明らかにパンチ力は失っていた。惜しいチャンスは幾つか作ったマジョルカだったものの、それらもバルサ守備陣が高い集中力で刈り取り、致命傷とはならず。終了間際に追いつかれた、国王杯アルコヤノ戦の教訓が活かされていたようだ。
逆にバルサは、ホイッスル直前にダメ押し点で試合を決める。91分、エトーの予想外のロングシュートを炸裂させ、豪快にネットを揺らして見せたのである。これでスコアは0-2となり、バルサの勝利確定。素うどんが月見うどんになったかのような、満足度をグイッと引き上げてくれるゴールだった。
内容は決して褒められたものではなかったものの、苦手フエラで3ポイントをきっちりと確保したこと、アンリとエヂミルソンが戻ってきたことはポジティブ要素。エトーが離脱し、メッシも負傷中のバルサにとって、アンリの復調は願ってもないお年玉となりそうだ。アニモ!
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