熱いハートがあれば、それなりの結果は出せる。そう証明するようなゲーム。
前大会王者セビージャとの対戦に、バルサ選手たちは集中してピッチに飛び出していた。まず感じられたのは、激しいプレッシングを仕掛けてくるセビージャに、気持ちで絶対に負けないとの気合。最前線から猛烈にプッシュするエトーを筆頭に、バルサ選手たちは積極的な守備意識を持ってゲームに臨んでいる。
ゲームは序盤から、両チームの激しい攻防が繰り返されている。走り、プレスをかけ、ボールを奪えば前線へ送り込む。あたかもプレミアリーグのような展開が、そこでは繰り広げられていた。バルサ攻撃陣で目立っていたのは、マジョルカ戦はさっぱりだったジョバニ・ドスサントス。エトーに引っ張られるように守り、1対1を仕掛け、シュートを放つメキシカン。本日のベスト頑張ったプレーヤーの一人だ。
そしてもうひとり、調子の良さをアピールした選手がいる。マジョルカ戦で復帰し、好印象を残したティティ・アンリだ。それまでは決定的なチャンスはさほど作れていなかったバルサだが、24分、自陣のマルケスからアンリへとロングパスが送り込まれる。これをティティは絶妙なタッチでコントロールすると、そのままゴール右に流し込んで見せたのだ。クラックのゴラッソにて、バルサは先制に成功する。
ただ、復活気味のセビージャが、これでへこたれるはずはない。むしろ彼らはさらに気迫が入り、バルサゴールへと猛攻を開始するのだった。やや押し込まれるバルサだが、マジョルカ戦に続いてマルケスとミリートの守りは鉄壁。またチーム全体としての戦う姿勢もなかなかのもので、決してセビージャの好きにはさせなかった。なにはなくとも、戦う気持ち。これはいい。選手たちはよく集中していた。
しかし前半終了間際の44分、バルサはあえなく同点に追いつかれてしまう。エリア際、ダニ・アルベスのフリーキックをバルデスが抑えきれずにコーナーとなり、カペルの左足がネットを揺らすことになったのである。前半を通じ、集中を切らさなかったバルサの唯一の隙を突いての同点弾。リードを持ってハーフタイムを迎えるだけの価値があるプレーをしていただけに、勿体ない失点だった。
同点で気を良くしたセビージャは、後半に入ると勢いを強めてくる。バルサは逆に防戦モードとなり、しばらくの耐える時間帯となる。ただし、集中と姿勢は失ったわけではなかった。セビージャ最大のチャンスは51分。ダニエル・アルベスのクロスをチェバントンが頭で叩き、クロスバー直撃弾となったのである。バルセロニスタ、冷や汗。
セビージャはさらに選手交代によってバルサへの圧力を強めるが、一方のライカーは交代を行うことなく様子もない。これは肝が据わっているとみるべきか。いずれにしてもセビージャの攻勢は続き、バルサはアンリやジョバニの散発的な攻撃で抵抗するばかり。70分、エヂミルソンの強烈なシュートはあわやゴールのポスト直撃弾。その5分後、エヂ神父は太もものダメージによってチュラムと交代でベンチに下がっている。不運なブラジリアン。
そこまでくると、もうバルサの狙いはエンパテだった。サンチェス・ピスファンでゴールを奪っての引き分けは、悪い結果ではない。むしろ良くやったともいえるだろう。バルサはその後も集中を切らすことなくセビージャの攻撃をしのぎきり、価値あるエンパテをゲット。次週行われるカンプノウでの第2戦に大きな可能性を残し、アンダルシアを去ることになった。ハートで決して負けなかったのも、好い。
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