バルサ攻撃陣がまともに機能したのは、いつ以来だろうか。新トリデンテが存在感を示し、久々となるゴレアーダを決めた。
試合序盤、バルサはやや控えめな立ち上がりを見せる。風の強かったこの日のバルセロナ。その冷たい風にテンションが下がってしまったのか、序盤のバルサのプレーはいまひとつ活気がなく、守備的なエラーを何回か見られた。高い位置でボールを奪われ、無用な守備的努力を強いられる場面が目立っていた。
火曜日のセビージャ戦(コパ)を視野に入れたライカーはローテーションを採用し、アビダル、ミリート、イニエスタのレギュラーたちを休ませる決断をしたのだ。しかしこれが序盤の不安定さに影響を及ぼしていたわけでもない。代わりに登場したグジョンセン、シルビーニョらの動きは申し分なく、特にブラジル人ラテラルはいいアクセントとなっていた。
ゲームの流れをガラリと変えることになったのは、26分のプレーである。マルケスからの好フィードを、サイドを駆け上がったザンブロッタが折り返し、中央に詰めていたグジョンセンが右足インサイドでダイレクトで押し込んで1-0。それまでは集中した守りでバルサの攻撃を封じていたムルシアだったが、このゴールは精神的にダメージが大きかったようだ。これでバルサは落ち着きを取り戻し、危ういシーンはなくなった。
その後、バルサには好機へと“つながりそうな”プレーが幾つもあった。しかしオフサイドを異様に気にしていた審判たちの神経質すぎる判定により、次々にオフサイドとなるバルサのパス。少なくとも線審は3回、バルサの的確なパスを存在しないオフサイドで取り消していた。しかもGKノタリオのエリア外でのハンドを見逃す始末。なんだかなぁ、である。
前半を1-0で終えられたことは、ムルシアにとっては幸運だった。49分にはバイアーノがバルデスと1対1になるシーンも手にしており、これが決まっていれば話も違っていたかもしれない。しかし彼らの抵抗も、その直後に終了の時を迎える。51分、我らがボージャンのシューズによって追加点が生まれたのだ。ゴールの立役者は、いよいよ本領発揮のアンリ。左サイドでマークを抜き去ると絶妙のボールを中央へ送り込み、詰め寄ったボージャンはそれに軽く合わせるだけだった。
2点差がついたことで、試合は決着した。後はどれだけバルサがいい仕上げを見せることができるかどうか、だけ。そしてカンプノウの期待にきっちりと応えてくれたのが、この試合を最後にしばしのお別れとなるエトーだった。76分、シルビーニョのスペースへの抜群のパスにアンリが反応し、切れ込んでのセンタリングにシュートがエトー。左サイドのアンリ、最高に効いている。彼自身の得点こそなかったが、存在をアピールしての2アシスト。スピード感ある突破は見ていて小気味いい。
さらに86分には、もう一度エトーがダメ押し点を叩き込んでクレへの置き土産とした。途中出場のジョバニが、ボージャンには負けられないとばかりにエリア右で粘り、ゴール正面にラストパス。これに黒豹エトーが突っ込み、気合で押し込んだのだった。その後エトーはお役御免。ライカーはトップデビューとなるペドリートを彼と交代させるサプライズ采配を行い、余裕のカンプノウは若きキラキラ星の登場に大いに沸いた。フィエスタの締めくくりとしては、まずまずのデザートである。
破壊力あるこのトリデンテがいきなり見れなくなるのは寂しいが、じきに戻ってくるメッシにより、新たなるトリデンテが爆発するところも楽しみではある。なんにせよ願うのは、エトーが五体満足でコパ・アフリカから戻ってきてくれること。そしてアンリ、メッシらと恐怖の攻撃陣を構成してほしい。あとはチーム・カシージャスがころりと転べば、最高の週末となるのだが。
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