コパのセビージャ戦に続き、結果だけを手に入れた盛り上がりに欠ける試合。
ラシン・サンタンデール、FCバルセロナともにミッドウィークのコパを意識した先発メンバーを用意し、ゲーム自体もそれが色濃く反映されたような内容だった。カンプノウで20数年勝ちのないラシンは、最初の数分こそバルサゴールに迫ろうという意識を見せたものの、パンチ力がないのでバルデスが脅かされることはない。その軽いジャブを終えるとラシンは自陣で守る作戦を本格的に作動させ、バルサがボールを保持するようになっていく。
しかしバルサ、マドリに次ぐ失点の少なさを誇るラシンの守りは堅く、単調な攻撃ではそれを崩せない。最大の攻撃オプションはアンリの抜け出しではあったが、オフサイドトラップの網にかかり、彼のスピードも活かせずにいた。アンリとトリオを組んだカンテラーノたちは、この日はいまひとつ。ボージャンにはいつもの切れがなく、ジョバニは自分ひとりで解決しようとしすぎていた。18分、他の仲間を使わずに強引に2本のシュートを放ったシーンはその典型。
20分を過ぎるころから、少しながらバルサにゴールチャンスが巡ってくる。21分にはザンブロッタの精度の高いクロスに、アンリのヘッド。しかしこれはわずかに合わずにバーの上。24分にはシルビーニョのフリーキックにイニエスタが頭で合わせるも、これまたクロスバーを大きく越えてしまっている。そして30分、同じくセットプレーからようやく先制点。デコの左コーナーをナバスがクリアし損ない、これがゴール前のアンリへの絶妙のパスとなる。アンリは難なくこれを押し込み、ついにバルサはリードを奪った。
その後ハーフタイムまでの間、なんら見るべきところなく前半は終了。
そして後半、表情を変えてほしいとのファンの願いも空しく、バルサは前半と同じようなパフォーマンスに終始する。このラシンならば1点のリードでも十分に耐えられるとの判断か、追加点を積極的に狙うより、リスクを避けることを最優先させるかのようなプレーのバルサ。選手たちの頭は、すでに木曜日のビジャレアル戦へと飛んでいたのかもしれない。
あわよくば同点を狙ってはいたものの、これといったチャンスは作れないラシン。バルサは怪我から復帰したメッシの登場(65分)によって一時的に活気付くのだが、それも長くは続かない。ゲームはまたすぐに淡々とした展開に戻り、見るものの眠気を誘いながら、時間だけがただ過ぎていった。85分、カウンターからオリオルが抜け出し、バルデスと対峙した時が最大の眠気覚まし。しかし彼のヒヤッとするシュートは守護神が弾き返し、事なきを得ている。
ゲームはそのまま、感情を爆発させる機会もなく、静かに終了。マドリダービーをバルサ顔負けの効率の良さで制したメレンゲとのポイント差は7のまま変わらず、なんとなく期待外れの週末となった。最小限の努力で、地味にでもいいので勝つ。リーガは折り返し地点を過ぎたところだが、この手の試合がしばらくは続くのかと思うと、若干ブルーになるのも仕方ないのか。
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