後半試合を支配したバルサだったが、決め切れなかった。勝負は第2戦カンプノウへ持ち越し。
この試合、ライカー・バルサは前後半それぞれでアプローチを変えている。前半は例によって失点しないことに専念し、ひたすら現実に徹するプレー。そして後半はアクセルを吹かし、あわよくばここで勝負を決めにいくフットボルだ。
プジョルが風邪で、アビダルが左足のダメージで欠場となったことにより、守備ラインは未知の組み合わせとなっている。しかし抜群の安定感を誇るデフェンサたちに、今回も乱れはなかった。バルデスの好セーブにも助けられ、またも無失点で試合を終えることに成功したバルサだ。
ゲーム序盤は、慎重に試合を進めるバルサに対し、ビジャレアルが主導権を握っていた。地元で情勢を有利な方向へ持っていくべく、激しく圧力をかけてくるイエローサブマリン。15分を過ぎる頃から彼らの攻勢は本格化し、ロッシ、ニハトを中心にバルサゴールを脅かした。
しかし今のバルサには鉄壁と呼べる守備陣がおり、たとえその壁を乗り越えられたとしても、最後に立ちはだかるバルデスが相手ゴールを許さないのだ。36分、左サイドのピレスからのクロスをニハトに合わされるのだが、誰もが入ったかと思ったこのシュートを、バルデスが止めて見せた。どちらかといえば地味な前半の終盤に訪れた絶好のチャンスを、ビジャレアルは活かせなかった。これは間違いなく、この試合の分岐点となっている。
バルデスのパラドンに奮い立ったか、それとも最初からその計画だったのか。後半に入ると、バルサはガラリと別人のように変化していた。保守的な守りのフットボルではなく、ワンタッチでボールを回し攻める、いわゆる“バルサのフットボル”を展開するようになったのだ。そこに大きな役目を果たしていたのが、ジョバニに代わって46分から登場したメッシである。
フィジカルで相手を圧倒し、ビジャレアルを自陣に縛り付けるバルサなど、試合前にどれだけのクレが予想できたであろうか。黄色い潜水艦が後半に手にしたチャンスは74分、セナのロングシュートのみ。あとはほぼバルサが試合を支配し、いつ得点を奪ってもおかしくないほどの雰囲気だった。しかし残念なことに、61分のイニエスタの強烈なシュートも、72分の同じくメッシから絶妙のパスを受けたイニエスタの飛び出しも、相手GKディエゴ・ロペスの攻守に阻まれ得点ならず。両守護神の活躍が光る。
試合終盤は両チーム共に疲れが見え、ペースダウンしていく。そして予想に反してスペクタクルなプレーが見れたゲームは、これまたその内容に反して無得点にて終了。勝敗の行方は第2戦のカンプノウへと持ち越しとなった。
前半と後半で表情を変えたバルサ。最初は慎重に守りを優先し、後半は“らしい”攻撃で圧倒する。これもひとつのプランであり、力強く実行できたことに、次への希望が垣間見える。惜しむらくは、その報酬としてのゴールを奪えなかったことだ。次週、地元ファンの熱い声援がこれにプラスすれば、必ずや勝てると信じることにしよう。
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