気合の入ったアグレッシブなプレーで、ビジャレアルを封殺。渋いスコアながら難敵に勝利し、せみファイナル進出を手にした。
ビルバオ戦で不甲斐ないプレーをし、批判を受けたことが選手たちの誇りを刺激したようだった。この試合、バルサ面々は気持ちに火がついた状態でピッチに現れ、序盤から積極的かつアグレッシブにプレーを進めていく。そこにはリーガを半分投げ捨てたサン・マメスのような半端な姿はなく、最初からそう出来ていれば・・・との“残念さ”も一部にじませる。
この日のバルサは、輝いていた時期を思い出させるプレーがしばし見られた。特に前半はビジャレアルを圧倒。試合がゴレアーダとならなかったのはいくつかの幸運とバカ当たりのGKディエゴ・ロペスの活躍があったからであり、1失点で終れたことをラッキーと言えよう。黄色い潜水艦は、沈没しかけていた。
逆にバルサは不運に見舞われてはいたが、圧倒的にエリアに侵入し、ゴールチャンスを演出していただけに、それを1回しか活かせないというのはいただけない。効率性を向上させれば、もっと楽に試合を支配していけるのだが。
この日はメッシの出来が出色だった。“本来のメッシ”に戻ったというべきか。攻撃をグイグイと引っ張り、アンリと絶妙に絡み合うことで守備陣を翻弄。スペースを生み出すのは造作もないことのようだった。とにかく前半の攻撃はバルサ一色。決定的と思われるチャンスは少なくとも5回はあり、そのうちの3回はメッシに訪れたチャンスだった。しかしディエゴ・ロペスが彼の前に立ちはだかり、メッシ祭りを妨げている。
メッシの活躍はそれだけではなかった。前半終了間際、40分と42分に連続してシガンにファールを誘発させ、2枚のカードで退場に追い込んだのである。さらにその間には待望の先制点も到来。デコの遠距離からのフリーキックを、マークをかいくぐったアンリが頭で合わせたのだった。国王杯はことごとくアンリのゴールに救われている。セビージャとの1/8ファイナルに続き、ビジャレアルとの1/4も彼の虎の子の1ゴールにて勝利したのだから、まさにアンリ様様。
そして後半。バルサは案の定エネルギーを消耗させ、前半の圧倒的なリズムを維持することは出来なかった。幸い最少ながらもリードはしていたし、攻撃へのアクセルは緩め、試合をコントロールすることに重点を置くバルサ。惜しいのはそれでも2回手にした追加点のチャンスを、モノに出来なかったことである。
まずひとつめは68分、決まったかに見えたアンリのゴールがオフサイド判定によって無効に。さらに74分にはボージャンを倒したことでディエゴ・ロペスがペナルティを宣告されるのだが、メッシのシュートコースをポルテーロは読んでおり、弾き返して見せるのだった。
また、ペナルティに前後してピッチにはロナウジーニョが登場。久々に見るクラックの姿にスタンドは大いに沸き、何度となく彼の名前が叫ばれていた。なんだかんだで人気のあるロナウジーニョ。プレー自体にこれというものはなかったが、身体はシェイプアップされているようだった。今後の復調に期待。
試合はそのまま動くことなく、1-0で終了している。チャンスは多々あっただけに、完全燃焼とはいかない試合。平日22時にスタジアムまで足を運んだファンにとっては、もうひと爆発あってほしいゲームだった。とはいえ、準決勝進出という最低限の目標は果たしたことだし、選手たちの姿勢もよくなっていた。この感じを維持することが出来れば、光明も見えてこよう。まだ半信半疑ではあるものの、希望も感じられた試合としておこう。
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