エトーの帰還とともに、ゴレアーダ。
最下位を独走するレバンテを地元に迎えての、“勝利が約束された”一戦。試合は実際にその前評判どおりの展開を見せていく。ボールをコントロールするバルサ、受けるレバンテ。そのチーム力の差は歴然であり、集中を失わずにプレーすれば、勝利は確実だろうとの印象を受けた。
ただしモチベーションはMAXとはいかない試合、バルサは序盤のリズム形成にやや苦労する。それでもイニエスタのオフサイドで無効となったエトーのゴール(8分)を始め、匂いは漂わせていたバルサ。その予感は13分、現実となった。イニエスタのスルーに突っ込むエトーと必死でブロックするデフェンサ二人。そのこぼれ球を追走していたチャビが押し込み、先制に成功するのである。中盤が得点に絡んだいいゴール。
このゴールにより、バルサのゲーム支配はさらに強力になる。直後の15分にはザンブロッタから一気に前線のスペースへパスが渡り、切れ込んだエトーがセンタリング。しかしファーで超フリーのロナウジーニョが大空へシュートを放ち、照れ笑いを見せている。嗚呼もったいない。バルサの追加点はいつでも生まれそうな雰囲気だった。
だがそれが逆に、バルサの余裕を呼んだのだろう。20分後半からは、徐々にレバンテのペース。26分にはファンマにキックフェイントからエリア内に切れ込まれ、あわやゴールのポスト直撃弾。さらに27分にも、ヘイホーにヘッドでネットを揺らされるのだが、これはオフサイドで無効。明らかにバルサの集中力に乱れは出ていた。
そしてそのままズルズルいった39分、ザンブロッタが疑問の余地のないハンドをとられ、ペナルティ献上。これをリガが落ち着いて決めて、レバンテが同点とするのである。カンプノウは嫌な雰囲気に包まれる。
しかしこの“窮地”を救ったのはメッシの破壊力だった。43分、きっかけは本当に何気ないボール回しから。エリア右角でボールをキープしていたメッシが突如エリア内のチャビとワンツーをし、チャビのヒールパスを受けたメッシがデフェンサだらけの密集地帯へ突入してそのまま振り足鋭くゴール右隅へズドン!なんという個人技、クラックにしかできないゴラッソだった。
メッシのスーパー追加点によって2-1で試合を折り返したバルサは、後半も満足することなく攻め続ける。後半はいわばエトー・ショーだった。まずは55分、左サイドでボールをキープしていたメッシから、絶妙のタイミングでエリア内にスルーパス。これにエトーだけが反応し、ポルテーロを軽くかわして角度のないところから無人のゴールへ流し込んで3-1。これにてバルサの勝利はほぼ確定的となり、安心して試合を楽しめるようになる。レバンテはここで心が挫けた。
そこから先は、余裕のお楽しみタイム。次の日程なども考えると流してもいい状況ではあったが、この日のバルサは容赦なくレバンテゴールに襲い掛かった。4点目は61分。トゥレ・ヤヤからの浮き球スルーパスに右サイドのメッシが反応し、自分でもいけたところを中央のエトーへとプレゼント。エトーはただゴールへ流し込めばいいだけであり、これをしくじるはずもなかった。
さすがに4-1となると、バルサの攻撃意欲も若干薄れる。あとはいくら点差を広げても同じこと。どうせなら観客が喜ぶプレーで、と見せ方にもこだわっていたようだ。そうでなければ、もっとゴールは奪えただろう。そして5点目も、またまたエトー。86分、ピッチ中央のチャビから右のボージャンへ深い縦パスが渡り、ボージャンはデフェンサをかわしてセンタリング。エトーはこれを上手く処理できなかったのだが、逆にそれが功を奏し、弾いたボールがそのままラインを超えハットトリックの達成となった。
エトー不在時はゴール不足に泣いたバルサだったが、彼の復帰に合わせるようにチームもリズムを取り戻し、それにしたがってゴールも戻ってきた。7試合連続1ゴールがウソのような、このところのバルサ。この調子でいければ、逆転優勝も十分すぎるほどにありえる。下り坂を転げ落ち始めたマドリとの差は、早くもついに2ポイントにまで縮まった。
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