勝つしかない一戦で、見事に敗北。リーガがまたも遠のいていく・・・。
スペイン国民の関心が総選挙の結果へと傾く中、キックオフとなったカンプノウでのビジャレアル戦。リーガ奪還へ望みをつなぐためには絶対に勝っておきたいバルサは、序盤から攻勢に出る。スタンドは5万6000人と今季最低の入りだったが、気合の入ったバルサのプレーは熱かった。
チャンスは早々に訪れる。2分、相手デフェンサのカットミスをさらったエトーが、エリアに切れ込んでいい形でシュートを放つも、これはGKディエゴ・ロペスに押さえられゴールならず。その後もバルサはイエローサブマリンを一気に沈没すべく、圧力をかけ続ける。ボールの主導権はほぼバルサが握っていた序盤の20分。しかしアイディアは乏しく、決定機を作るには至れない。
ビジャレアルは組織された守備陣がすばらしく、ここぞという場面でバルサ攻撃陣を自由にさせなかった。かといって守り一辺倒でもなく、ボールを奪った時には切れ味鋭いカウンターにてバルデスを脅かすから嫌らしい。チャンス作りの面では、ビジャレアルの巧さが光っていたといえる。バルサが攻め疲れだした30分、その機を見逃さずにカウンターで突入してきたギジェ・フランコを、バルデスがこらえきれずに倒してペナルティの笛。これをセナが決め、ビジャレアルはまんまと先制点ゲットに成功するのだった。
ボールは圧倒的に支配はしていたが、決定機はほとんどなかったバルサと、ワンチャンスの効率性によってリードを奪ったイエロー潜水艦。バルサは思いつきで攻撃を仕掛け、ビジャレアルは計算されたカウンターでしっかり相手の急所をえぐる。そのあたりの違いが明確に現れた展開だった。やや低い位置に収まったロナウジーニョから時折出されるパスは精度が高かったが、エトーとアンリのコンビネーションが酷い。個々としての可能性は感じられるが、チームとなると上手くいってないのがこのバルサだ。
前半はそのまま特に見せ場もなく終了。そして後半も、その傾向に変化はなかった。どうにかしようという気持ちは伝わるのだが、それだけで攻略できるほどビジャレアルの壁は甘くない。そこそこのチャンスは作れても(10本のコーナーがそれを物語る)、黄色い網の集中力、闘争心、組織を崩すには不十分だった。
とはいえ、バルサにもイケイケの時間帯は訪れてはいた。65分にフィットしないアンリを下げ、ボージャンを投入していたライカー・バルサは67分、ついに同点弾を叩き込む。左サイドをイニエスタがロナウジーニョとのワンツーによって突破し、エリア深く侵入。切り替えしたところを、またもチャビが正確なシュートにて押し込み、勢いをつかむのだ。スタンドは大いに沸き、逆転勝利の可能性をぷんぷんと匂わせた。カンペオンは、ここから力強く勝利を手にするのだと。
しかし、カンペオン的な強さと巧さを見せたのはビジャレアルだった。彼らは慌てることなく、的確なチェックでバルサの勢いを鎮圧。追加点を許すことなく厳しい時間帯をしのぎきり、逆にリードを奪うのだから見事なものだ。バルサが単純すぎるのだろうか。80分、カソルラからのパスによってエグレンが完全にバルサ守備陣の裏を取り、深くえぐって中央のトマソンが楽々とどめをさした。
このゴールが与えたダメージは大きかった。残り10分で逆転劇を繰り広げることなどこのバルサに出来るはずもなく、試合はそのまま意気消沈状態にて終了のホイッスル。ビジャレアルにとってのカンプノウでの7年ぶりの勝利は、バルサから希望を奪うに十分な一撃となった。これでマドリとのポイント差は8に拡大。大事なところで失敗を繰り返すライカー・バルサ、そのたびに遠くへと去っていくタイトル。
|