主役はボージャン。2ゴール2アシストと、バルサの勝利に大きく貢献した。
リーガではここ3試合で勝ち点1、さらに木曜日にはコパも失っていたFCバルセロナ。カンプノウでのこのゲームは、絶対ぜぇぇっっったいに勝つしかない状況に追い込まれていた。当然、チームへの風当たりは厳しい。ピッチへの入場時、スタンドからは“しっかりしろよの口笛”が鳴らされ、批判の横断幕もちらほら見られた。
そういった中、ファンとの“和解”に非常に貢献したのはボージャンだった。この日の基本位置は右ではなく中央。しかし元気あふれる若者は、状況に応じて右へ左へ、神出鬼没に登場し存在感を発揮する。最初のチャンスは2分。相手の不用意なバックパスを掠め取るとGKアセンホと1対1で抜き去る。しかし肝心のシュートはゴール直前でデフェンサにクリアされ得点ならず。
続く5分にも、イニエスタからの浮き球パスをチャビがエリア内で完璧なポストとなって落とし、ボージャンがシュートに持ち込むという美しい連係プレーがあったのだが、惜しくもアセンホに阻まれゴールには至っていない。この日はアセンホの動きが良く、その後もイニエスタの至近距離からのシュート、トゥレのコーナーからのダイレクトシュートを阻止している。決定機は作っているのに点が入らない、いつものパターンだ。
ただし、今回はクレの不安はすぐに解消される。23分、遅攻からボージャンがエリア左で粘り、マークをかわしてセンタリングを供給。これにエトーが背後からの絶妙な動きで合せ、先制点を獲得するのである。調子はもうひとつそうではあるものの、仕事を果たすところはさすがエトー。ここ11試合で11ゴールは見事の一言だ。
この得点までの流れは、ほぼ完全にバルサだった。しかし全てが上手く運ばないのが、今のバルサ。ここからは恒例のペースダウンが発生し、審判の辛すぎるジャッジもそれに拍車をかけるのだ。29分、バジャドリはカウンターからのクロスに、エリア内で合せようとするジョレンテ。プジョルとチュラムがそれを挟み撃ちにし、ボールはラインを割っている。だがその際にチュラムがジョレンテを押し倒したとして、ペナルティが宣告されたのである。セスマがこれを決め、スコアは振りだしに戻る。ペナルティはこれで今季8回目(ここ7試合で5回目)。もちろん、リーガ最多だ。
この同点によって、バジャドリは非常に活発となる。バルサは中盤での支配力を失い、試合の主導権もほぼバジャドリだった。37分にはジョレンテに、44分にはセスマに決定機を許しており、ハーフタイムでの退場の際には、スタンドからいくらかの口笛も鳴らされている。
そして後半。救いとなったのはイニエスタがそうそうに追加点を奪ってくれたことだ。47分、トゥレのおしゃれなノールックの浮き球スルーパスに反応した美白カンテラーノがアセンホを抜き去り、ネットを揺らす。このゴールによって、バルサは非常に楽になった。パス回しに、落ち着きが戻る。さらに64分にはオフサイド気味ながらも、チャビのフリーキックをボージャンが角度のないところから決め、3-1。これまでずっと出来ていなかった“2点リード”をようやく、バルサは掴み取った。
しかしバジャドリは諦めなかった。彼らはその後も意地を見せ、75分にはセスマが、82分にはマンチェフがそれぞれヒヤリとさせるポスト&クロスバー直撃弾。おまけに78分にはオフサイドで無効となったもののセスマにネットを揺らされており、このところの守備の不安定さは改善されてはいない。今回は運よく追加点を許さず勝利したものの、修正しなければ痛い目に遭うのは明白だろう。
83分にはラインを突破したエトーからの“決めてください”パスに、またもボージャン。滑り込んだ勢いでファーポストに当たる執念のプレーで、完全なるダメ押しとなる4点目を決めている。
そしてバルサが大差で勝利したその2時間後、ベルナベウではバレンシアが劇的な逆転劇でマドリを粉砕。これで首位との差はまたも4ポイントにまで縮まり、大方の予想(期待)どおりに優勝争いはまたも混乱の様相を呈してきた。残り9試合、バルサ逆襲の可能性は十分残されている。つまらないエラーさえしなければ、いけそうだ。
|