0-2で勝っていた試合を、成す術なく逆転されて痛恨の一敗。恥。
不調マドリが何度チャンスを与えてくれようと、ことごとく自らそれをドブに捨て続けるFCバルセロナ。このベティス戦でもチームライカーは己たちのダメっぷりを全世界に向けて配信し、白組以上に優勝する価値のないチームであることを改めて露呈した。前半のリード(それも圧倒的)を後半に引き継げない欠点を、またしても繰り返す。過去の教訓など、何も得ていない。
試合は序盤、慌しいペースで始まる。あちらのエリアに入ったかと思えば、次の瞬間には逆のエリアへと移動しているボール。しかしベティスの勢いはすぐに収まり、バルサは一気にゲームを畳み掛けるのである。10分を過ぎてからは、完全に主導権はバルサのものとなっていた。今回はゴール運もあり、まさに順風満帆といっていいだろう。
先制点は13分。左で粘ったアンリが一旦下げたボールを、チャビがふわりと浮き球のスルーパス。これにライン後ろから詰め寄ったエトーのシュートはクロスバーに嫌われるが、きっちりとボージャンがとどめを刺して0-1。17歳のゴレアドールの得点嗅覚により、バルサは意外にあっさりとベティスネットを揺らした。
さらにバルサの勢いは止まらない。その後も青エンジ戦士たちはベティコエリアに押し寄せ、あっという間に追加点を奪ってしまうのである。15分、またも左のアンリから中央エリア後方のイニエスタへとボールが渡り、1点目と同じように浮き球のスルーパス。これにエトーが突入し、頭で合せてネットへ突き刺した。一瞬にしてリードは2点に。「これは勝てる」。バルセロニスタの多くはそう確信しただろう。マドリへのポイント差は1となり、強力な圧力になるはずだと・・・。
ゲームはその後ややリズムを落とすが、バルサはきっちりとベティスをコントロールし、なんら危なさを感じさせないままにハーフタイムを迎えている。
だがシナリオはクレが思っていたようなものとはならなかった。現実はどこまでも厳しい。そのきっかけとなったのは、ベティスの早い選手交代だった。ゲームのリズムが前半とさほど変わらないと見るや53分、ベティコ監督チャパーロは一気に二枚換えにてソビスとオドンコルを送り込む。ベティスはこれで活気を取り戻す。だがライカーは62分、ただボージャンを下げ、ジョバニを入れるだけ。これが試合の行く末を決めた。
選手交代後のベティスの勢いは明らかだった。バルサの中盤が機能不全になっているのを尻目に、中央を完全に支配し、行き場のないバルサボールを簡単に奪っては威力絶大のカウンター。特にソビス、エドゥが顔を出す左からの攻撃はすべてが脅威だったといっていい。ベティスの反撃は、ライカーが意味不明の交代をした直後の63分。エリア左でソビスがザンブロッタを切り交わすと、そのクロスに中央のエドゥ。ヘディング職人にまんまと得意のプレーを許し、バルサは1点を失った。
こうなると流れは完全にベティス寄り。少しでも早くベンチは対策を練るべきなのだが、ライカーは動かない。相手の勢いに飲まれた選手たちはラインを下げて守るようになり、それによってベティスはさらなる行動の自由を得た。バルサの当てのないパスは恐ろしく容易にカットされ、その後のプレスも効かないので、あっという間にエリアに到達される。あとはもう、薄氷を踏むようなギリギリの守りに頼るしかないバルサ。
それでどうにかなる試合もあるだろうが、今回のベティス相手にはそうはいかない。73分にはアビダルがオドンコルをエリア内で倒し、ペナルティの笛。エドゥのシュートは奇跡的にバルデスの足に当たり防がれるのだが、その直後の75分、ベティスはゴラッソにて同点に追いついて見せた。スローインをエリア右角のファニートが胸トラップすると、そのまま振り向きながらのボレーシュート!デフェンサとは思えないゴールだったが、これでなくとも点は奪われていただろう。
バルサはすでにチームとして壊れていた。中盤が存在しないので、勝ち点3を呼び込むゴールの匂いはゼロ、逆に逆転弾を食らう雰囲気はプンプンのムンムン。弱体チームと化したバルサを葬るチャンスをベティコたちが見逃すはずもなく、78分、いとも簡単にその時は訪れた。ダミアーからのなんでもないクリアボールが左に張っていたエドゥにわたり、ブラジリアンはそのままチュラムの存在を気にも留めることなく、エリア際まで持ち込んでさらっとシュート。これがネット左に突き刺さり、ベティスは余裕で逆転に成功するのだった。
そうなってからグジョンセンを入れたところで、何の効果もあったものではない。残り10数分、バルサに得点の予感なく、ベティスにさらなる恥の上塗りとなる追加点を奪われなかったのが救いといえよう。ゲームはそのまま、3-2で終了。最初から相手に圧倒されていたよりも気分の悪い、勝てた試合を無様に落としての黒星だ。ああなんて恥ずかしいバルサ!!
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