なにも上手くいってないチームの典型例のようなゲーム。数少ない決定機も、ことごとくポストに阻まれる運のなさだ。
前日にレアル・マドリが引き分けてポイントを落としていたため、勝てば差がまた5と縮まる大事な一戦。ライカーはシャルケ戦にてお粗末ながらも勝利を手に入れたのと同じメンバー(シルビーノ除く)を、今回も否応なく起用してくる。つまり今回も、エトーは右に封印ということだ。多用性といえば聞こえはいいが、これは本職ではないポジションを仕方なくこなしているということで、本来の実力は発揮しにくい。同じことはイニエスタにも言えよう。気持ちだけが空回りし、ハーフタイムにて交代となったエトー。
今回の相手は、わずか3日前にドイツにてバイエルンと死闘を行ってきたばかりのヘタフェである。中二日での遠征によりコンディションは良好とは言えず、前半だけで二人の負傷交代を出していることからも、それは見て取れる。戦法はゴール前を固めてのカウンター。体力的に厳しいこのゲームはそれがより顕著となっており、バルサは余裕をもってボール支配できる立場にあった。ヘタフェのチャンスは6分、デラ・レッドがザンブロッタからボールを奪い、オフサイドをかいくぐったマヌのシュートがわずかポスト左に逸れたシーンくらいだった。
その後のチャンスは、(少ないとはいえ)バルサ一色。13分には右コーナーをトゥレが頭で落とし、ミリートが至近距離からシュートを放つも、GKアボンダンシエリ正面にてゴールならず。慌てすぎたか、唯一打ってはならないところへシュートしてしまった感じ。
さらにその2分後にはエリア左のアンリから中央のチャビ、さらには右のエトーへとボールを展開し、シュートという決定的な場面を演出している。しかしエトーのシュートは右ポストに阻まれ、ゴールならず。押せ押せムードの時に、ゴールが決まらない。不調のバルサにとってこれは確実に嫌な兆候であり、クレのそんな予感はその後、現実のものとなっていくのだった。ピンチをしのいだヘタフェは若干息を吹き返し、両チーム共に見せ場を作ることなく前半を終了する。
そして後半。ライカーは珍しく、ここで一気に二人の選手を交代させている。どうやら両方とも、ミリートなりエトーのフィジカル問題的な交代だったようだ。ただジョバニが入ったことで、バルサは少しながら動きのある攻撃が出来るようにはなっていた。しかしそれでも、ツキのなさは変わらない。53分にはそのジョバニがさっそくドリブル侵攻からシュートを放つも、またも右ポストに嫌われる。さらに68分にはシルビーニョのフリーキック、グジョンセンが頭で落としたところをチャビがアクロバティックな無理やりシュートを放つも、またも右ポスト直撃でゴールとならなかった。
バルサのプレーが酷かったのに疑問の余地はないが、しかしながら3度もポストにシュートを弾かれるというのは、運もない。ここまで不運なシュートが連続するってのは珍しく、シャルケ戦で運を使い果たしてしまったのだろうか。
ヘタフェは後半、明らかに疲れていた。バルサゴール前に人数を割くだけの体力はほとんど残っておらず、終盤はほぼ全員で自陣を守る作戦。バルサは時折やってくるカウンターに気を配りつつ、攻めまくればいい状況ではあったが、こちらも残念ながらガス欠となってしまっていた。ヘタフェゴールへと向かってはいるものの、単調で動きのない攻撃では堅い守りは崩せない。ただ時間だけが過ぎ行き、観客の忍耐も限界へと向かっていった。
試合はそのまま0-0のまま終了。ふがいない選手たちに、決断をしないラポルタの座るパルコに向け、スタンドからは一斉に白ハンカチの花が咲く。観客の多くはさっさと足早にスタジアムを後にしていたが、残ったファンは不満をあらわに、ラポルタ時代では初となるハンカチをついに登場させた。鳴り響く口笛と、ちらちらと舞うハンカチ(+代用品の新聞)。さあいよいよ、クライシス本番の到来となりますか。ある意味、スペクタクルな瞬間である。
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