審判の誤審によって、存在しないゴールが発明される不運はあったが、全体としては非常に低調。中盤がないに等しいのが痛い。
怪我人だらけのバルサ。ライカーは今回もスタメンに非常に苦労している。前線はロナウジーニョ、アンリ、ボージャンが召集外、メッシも復帰したてのために、ジョバニとエスケーロ(!)が先発で登場。中盤もイニエスタがシャルケ戦にて負傷したため、グジョンセンが久々に起用されている。
そんな苦しい台所事情の中、ゲームは最高すぎる形でのスタートとなった。わずか1分、チャビからボールを受けた右のジョバニがクロスを上げ、上手くフリーで飛び込んだエトーのヘッドが炸裂、あっという間に先制点を奪い取ったのである。
ただし、最近のバルサはそれでも信用できない。いくらこの日の相手がレクレアティーボとはいえ、追加点、ダメ押し点があるまでは安心のならないライカーバルサ。スタートが好すぎた試合は結果として悲しいものになるパターンが多い気がするのも、不信感に一役買っていた。
今回もバルサは、とにかく中盤がすっかすかだった。ここでプレスが効かないので、あっと思えばボールはエリア前まで運ばれている。逆にバルサも攻撃時は簡単に敵エリア近くまで進めるのだが、個人技頼りなので容易にカットされる。ボールはなんとなく、あっちへこっちへ行ったりきたり。攻守の切り替えは頻繁だったが、見せ場はこれといってない展開だった。
レクレの脅威はなんといってもポンゴレ。7分には左のアイトールからバルデスと最終ラインの間にパスを通され、危うく詰めていたポンゴレに合わせられかけている。これが前半の、レクレにとってもっとも決定的な場面。ポンゴレはその他にも積極的にレクレの攻撃を引っ張り、存在感を十二分に発揮している。
試合はそう多くの盛り上がりもないまま、ハーフタイムを迎えようかとしていた。問題のプレーがあったのはそういう41分。左サイドからポンゴレの上げたクロスをマルコス・ルベンがヘッドで叩きつけるのだが、バルデスがどうにか最終ライン上で止めたボールが、ゴールと認められてしまうのだ。明らかに誤審ではあるが、判定は覆らない。
45分にはエリア正面でエトーからのパスを受けたジョバニがGKと1対1でシュートを放つ場面を作ったのだが、これはソレンティノがなんとか弾いてコーナー。試合は同点のまま、前半を終了した。
そして後半、またも立ち上がりまもなくエトーが仕事をやってのける。46分、エスケーロが頭で落としたボールをエトーが拾い、パスを出すぞと見せかけつつエリア際に持ち込んでいく。そしてマークが離れたところを、思い切りのいいミドルシュート。これが見事ゴール右に突き刺さり、バルサはまたもあっさりとリードを手にすることになる。今度こそそのまま勝利へ、と祈る全世界のクレ。
以前のバルサであれば、このゴールで相手に精神的ダメージを与えられていただろう。しかし幾度となく逆転されるイメージを提供してきたアスルグラーナに、レクレはまったく怯まない。彼らはその後同点へと攻勢を強め、次々とバルデスに襲い掛かっていくのである。後半の残り44分は、レクレ色だったといっていい。51分には早速、ポンゴレがあわや同点という場面。コンビネーションにより1対1を作られ、至近距離から放たれたシュートをバルデスが弾き、事なきを得たのだった。
そして危機感を抱いたか、ライカーは直後にジョバニを下げメッシを入れるという交代を行っている。マンチェスター戦への調整ではあるが、予想より早い時間帯での投入だ。さらに数分後には、グジョンセンを下げてエヂミルソン。なぜか腰痛でへろへろ、パスミスも多かったトゥレが残され、インテリオールへとポジションを移している。実に不思議な采配だ。
だがライカーの願いも空しく70分、またもバルサは守備的なエラーから同点に追いつかれる。左サイドのポリが上げたクロスを、ファーサイド角度のないところにいたマルコス・ルベンがヘディングシュート。これが今度は間違いなくラインを越え、バルサにとって非常に痛いゴールとなった。クロスを簡単に上げさせすぎであるし、守備ラインは簡単に背後を取られすぎ。バルデスがスリップする不運もあったが、これは彼を責められない。
試合はそのまま、バルサが見せ場を作ることもなく終了。いつもの組織的な弱さはなんら改善されることなく、リードを保ちきることも出来ないのも相変わらずだ。この引き分けにより、もともと奇跡しかなかったリーガ大逆転制覇も、本当に夢物語となった。あとの楽しみは、マンチェスター戦と2位争い。
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