マンチェスター戦を前に景気付けしておきたかったが、最終プレーに精度を欠き、ゴールならず。リーガでは3試合連続となるエンパテに終わった。
このバルセロナダービーにおけるバルサとしての意気込みは、ベンチに居並ぶメンバーを見れば分かった。イニエスタ、メッシ、マルケス、アンリ、デコ。これらほとんどが怪我上がりではあるものの、特にメッシとイニエスタはマンチェスター戦を意識した温存であり、この采配は当然ながら試合に大きな影響を及ぼした。デコ、マルケスあたりは逆にリズムを得るために使ってみたかったところだが、そのあたりのバランスが難しい。
そしてそれは結果的に、エスパニョールへの援護射撃となる。シーズン前半戦の勢いはどこへやら、なにやらかなり寂しいチームになってしまったペリコたちのプレーはもう、バルサを凌ぐほどの悲しさだった。そんな散々なチームと飛車角を落とし、水曜のことが脳みそを埋めるチームが戦っているのだから、いい試合になるはずがない。中盤から前線にかけて、両チームはパスミスを連発。互いに動きの質は低く、とにかく笑うしかないようなゲームがそこでは展開されていた。
そんな中でもチャンスっぽいのは一応は訪れるわけだが、2回のチャンスはいずれもバルサ。23分にはエトーのスルーパスに走りこんだグジョンセンが、GKカメニと1対1でのシュート。しかしこれはカメニの好セーブに阻まれ得点ならず。続いてその3分後、シルビーニョのアーリークロスに飛び込んだファーサイドのチャビのヘッドはわずかに枠の上。これらはあと少しでゴールだったのだが、「うわぁ!」と絶叫するほどのプレーでもない。バルサなら“普通”の得点機といえよう。
そして後半、バルサはイニエスタとメッシが入ることによって別のチームとなる。ライカーはハーフタイム明けからこの両者を、そして65分からマルケスを投入。これらはいずれもエスパニョール戦を解決するためであり、ユナイテッド戦にむけての準備である。メッシは後半早々の46分、存在感を発揮する。得意のドリブルでエリア内に切れ込み、カメニを脅かしているのだ。カメニはこの日、当たっていた。彼はその後の、混戦からのエトーのシュートも弾き返し、その天敵ぶりを示している。
だがバルサのその勢いも、そう長くは続かなかった。後半も半ばに入ってくると、またもリズムが低下。エスパニョールが死に体だったためにピンチにも陥ってはいないが、そんなペリコを相手に一蹴できないのも今のバルサである。エスパニョールは守りきるという選択肢しかなく、堅く守られるとこのバルサでは崩しきれない。攻め続けてはいるものの、決定機はなかなか訪れない。
惜しかったのは87分、マルケスから左のイニエスタに大きく展開し、そのクロスにエトーが合わせようとしたシーン。イニエスタのボールはコース・高さ共に絶妙だったものの、エトーのヘッドは一歩及ばず空中で空振り。こんなプレーを外すとは、エトーにしては珍しい。
そこから終了のホイッスルが鳴るまで、バルサからはどうにか1点奪い取って勝ちたいという気持ちは伝わってはきたが、それが精一杯。昨年終盤にマドリが見せたような奇跡の決勝点なんてものは訪れず、0-0のままゲームは終了している。試合終了後、ライカーは「リーガはまだ捨てていない」と語っているが、信じるクレはどれだけいるのか。バルセロニスタの希望はマンチェスター戦でのメッシの大爆発に託されている。あとは運の力でリーガ2位を確保できれば万々歳。
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