調子がさっぱりのコウモリ軍団をゴレアーダで仕留めたが、今更遅い。ちょっとしたストレス解消程度のお慰め。
予想通り、ラポルタのパルコ登場で激しい口笛が吹かれ、ハンカチがたなびいたカンプノウ。横断幕もラポルタに対し、厳しい内容のものが多かった。口笛は選手たちにも向けられているが、選手紹介時の「オーレ!」合唱はとりあえず行われている。
さて試合だが、クライシス状態のチーム同士、特に降格圏内に足がかかろうとしているバレンシアは後がないだけに、両者のモチベーションが激突すれば、激しい試合にもなるだろうと考えられていた。しかしフタを開けてみると、まったくサッパリのバレンシア。いきなりの3分、ドリブル単独突破を試みたメッシにアレクシスが不用意なタックルでペナルティを与え、バルサは簡単に先制に成功するのである。このゴールは、ラポルタたちに安堵をもたらしただろう。
さらにその後もこれまでの得点不足がウソのように、ゴールを決めまくるバルセロナ。8分にはアンリとメッシがエリア内でボールをつないで粘ってからのこぼれ球を、走りこんだチャビが押し込んで2-0。14分には左サイドを抜け出したエトーの折り返しをアンリが押し込み、15分を待たずして3-0のリードを奪うのである。
一体、どういう変化だろうか。4試合連続して無得点だったチームが、いきなりのこの変わりよう。バルサ選手たちはこの試合、それなりのプライドを持って挑んでいたのだろう。そして3分に早々と先制し、バレンシアは腰砕けだった。プレスは弱く、容易にパスが回せるバルサ。その後もバルサはゆとりをもってゲームを支配し、特にペースを落とすことなくバレンシアゴールに襲い掛かる。3点差で前半を終えたのは、GKヒルデブランドの頑張りによるところも大きい。43分、メッシの珍しいヘディングは惜しくもポスト右。
前半、まったく見せ場のなかったバレンシアの“勢い”は、後半になっても上向きはしなかった。スタジアムには刺々しさもなくなり、パルコの役員たちも落ち着いて試合を楽しめる状況の中、バルサは攻撃の手を緩めることなく、さらなるゴレアーダを完成させるのである。
57分にはアンリが、エリア左際から非常に彼らしい、巻き込んでくるシュートをゴール右端に突き刺してみせて4-0。彼はその4分前にも同様のシュートを外しており(ヒルデブランドがコーナーに)、同じシュートを2度打たせている点からもバレンシアの緩さが伺える。特にゴール場面では、アンリの前に道がわざわざ開いていた。とはいっても、シュートが素晴らしかったことに変わりはない。
点差が4となったことで、コウモリ軍団の士気は尽きていた。バルデスに仕事をさせたのはホアキンのミドルシュートくらいで、あとは全部バルサ色の後半。輝いていたのは5枚目のカードをもらいベンチに下げられたエトーに代わって登場した、ボージャンだった。少年はまず71分、デコの絶妙なスルーパスに反応し、右からするりとラインを抜け出して1点目をゲット。さらに78分にはチャビのスルーパスに飛び出したグジョンセンがダイレクトに中央にはたき、右から詰めたボージャンが押し込んで見せた。
これでスコアは6-0。前半が3-0だと後半はショボいゲームになることも多いが、この日のバルサは気持ちよく攻め、気持ちよくゴールを重ねた。ボージャンはこの2ゴールで今季リーガ通産ゴール数を10とし、白組カピタンであるラウールがもつ記録を更新、デビューシーズン最多得点記録者となった。
しかし、このゴレアーダはバルサにとってはあまりにも遅かった。水曜日のクラシコに向けての好材料ではあるが、今節で優勝が決まったリーガの優勝争いには何の役にも立たないゴレアーダ。もっと早くからこういうことが出来ていれば、リーガをさっさと放棄していなければ、また違う展開となってであろうに。けちをつけるつもりはないが、今更のゴレアーダである。
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