完敗という言葉がピッタリと当てはまる、これぞまさに完敗。パシージョの屈辱などほんの些細なことに過ぎないような、非常に恥ずかしいゲームだった。
今回のベルナベウクラシコは、マドリにとっては完璧なるフィエスタ、バルサにとっては恥の試合となった。気持ちの面で白組に圧倒され、意地も誇りも感じられないプレー。パシージョをする羽目になった自分たちへの怒りを、この試合くらいはピッチで表してくれるのでは、とのほのかな期待も、キックオフ直後に散る。優勝をすでに決めているマドリの方が、明らかに気持ちで勝っていた。
ゲームは序盤から、マドリのペースで進んでいく。速やかにパスを回し、効率よくバルサエリア前にボールを進めていく白組。対するバルサはプレスが弱く、まったくボールを摘み取ることが出来ない。攻めの場面となっても周囲の動きが乏しく、簡単にカットされてカウンターを喰らっていた。
日曜に優勝を決め、ひとしきりパーティを楽しんだマドリに疲れの様子はなかった。むしろヘロヘロだったのはバルサ。余裕でパスを展開するマドリが先制するのにさほど時間はかからず、11分、白組はエリア前でボールをつなぐと、ラウールが左足でミドルシュートを叩き込んでみせた。直前のグティのプレーは明らかにマルケスへのファールだったが、主審の目には見えていなかった。
さらに21分、ペレス・ブルール主審が“捏造”したフリーキック(キッカーはグティ)をロッベンが頭で合わせて2-0。経緯はどうあれ、こんなに簡単にセットプレーで決められてはいけない。ロッベンにはマークは付いておらず、これではやられても仕方ない。試合はこの時点で決着していた。
ここでライカーはグジョンセンを下げ、ジョバニ・ドスサントスを投入する。しかし気持ちが入っていないバルサには焼け石に水。ひとり気を吐いていたのはメッシだったが、さすがのクラックも一人ではどうもできなかった。彼への激しいファールの数々もカードの対象とならず、まさに孤立無援といったところだ。
当然ながら、後半になっても試合の流れは変わらなかった。いや、むしろ事態は悪化したといえよう。ハーフタイム明けに入っていたシルビーニョが早々に負傷退場し、エヂミルソンを投入せざるを得なくなるバルサ。そしてそのエヂ神父が3点目の“責任者”のひとりとなる悪循環。62分、右サイドで粘ったディアラがアビダルの守りを突破し、エリア内のイグアインにパス。これにプジョルのチェックが遅れ、エヂミルソンは雨ですってんころりん、イグアインは冷静に決めて3-0・・・ベルナベウのお祭りムードは最高潮に達した。
さらに77分には左サイドからのロビーニョのクロス(シュート?)に思わず手が出てしまったプジョルのプレーがハンドとなってペナルティ宣告。これをニステルローイがきっちり仕留めて4-0。悪夢のスコアとなった。
バルサはその後86分、メッシの大きなスルーパスに抜け出したアンリが一矢報いるのだが(4-1)、チャンスといえるのはその前のメッシによる数度の切れ込みくらい。逆にマドリのゴールチャンスは山ほど存在しており、審判のいくつかの援助はあったにせよ、マドリがバルサを完全に下しての完全なる勝利だった。終了間際にはチャビが2枚の連続カードで退場となり、悲惨なゲームにトドメをさしている。これまでに目にしてきた中で、もっとも恥ずかしい内容のクラシコだった。
また、他会場ではビジャレアルがレクレアティボを下しているため、2試合を残してバルサの3位以下が決定。これでユーロ2008をこなしたあとの夏を、バルサはチャンピオンズ予備予選から戦っていくこととなる。再建を託されるであろうペップに与えられた試練は大きい。
|