終盤の逆転劇により、盛り上がった第43回ガンペル杯。
例年ならこのガンペル杯が、地元ファンに対する新チームのプレゼンテーションとなるのだが、お披露目は3日前のビスラ戦にて終了していた今夏のFCバルセロナ。よってファンのお楽しみは、試合がどれだけお祭りとして盛り上がりを見せるか、公式戦では見られなかったカンテラーノたちの中に新たなスターが登場するかどうか、といったところになる。
この日の先発に、ペップ・グアルディオラは大量の選手を入れ替えてきた。水曜のビスラ戦(本気メンバー)から続いて先発となったのは、マルケス、アンリの二人だけ。コルコレス、ブスケッツら出番のなかったカンテラたちが入るなど、過分にテスト的なメンバーとなっているので、必然的に前半はボカペースでゲームは進んでいった。
ボカはリケルメ、パラシオといった主力を欠くものの、チームとしてまとまっていて、テストモードのバルサには自由なプレーを許さない。ペップ監督はしきりにベンチから立ち上がり、ピッチサイドで指示を送ってはいたのだが、ここは広大なカンプノウ。牧歌的な3部リーグのスタジアムとは異なり、思うように選手に声は届かなかったようだ。
この日の中盤構成は、トゥレ、ブスケッツ、グジョンセンといった3人。さすがにこれでは意外で流れるようなパス展開によって相手陣形を崩すことはかなわず、それゆえに前線の3人(フレブ、アンリ、ボージャン)も活きてこない。チャンスらしいものは全くといっていいほどにないまま、前半はただただ終了していった。
そして後半、ペップはまず選手を4人入れ替え、システムにも変更を加える。セントラルを3人(プジョル、ピケ、アビダル)とし、中盤を4人(フレブがメディアプンタ)の3-4-3を試してきたのだ。前線は右からジェフレン、ボージャン、ペドロとなった。
しかしこの試みは失敗と終わり、バルサはこれといってプレーを改善できない。さすがにいきなり、慣れないシステムが機能することはないのだ。これはもっと熟成が必要。なのでグアルディオラは72分、チームの核となる3選手(チャビ、イニエスタ、エトー)を投入する。これでようやく、バルサのプレーは改善されることになった。バルサの生命線は、やはり中盤だ。
ただ皮肉なもので、これでバルサが良くなると思いきや、ボカにゴールが訪れる。守備的な隙を突かれ72分、ビアトリに呆気なく失点を許すのだ。これ、今季のバルサのよろしくない点。ビアトリにはさらにその後、決定機を作られているのだが、それはピントの好守によって阻止している。
バルサがチャンスらしきものを手にしたのは、試合も残り10分となってからだった。主役はいずれもイニエスタ。80分にはGKがどうにかクリアのロングシュートを放ち、83分には個人技による突破からシュートさえ精度があれば・・・という至近距離シュート。そして84分のもうちょっと、というミドルシュートである。いずれも惜しい。でも入らない。残り時間もなくなりロスタイム突入、ああプレシーズン初黒星かという空気がカンプノウに漂っていた。
しかし91分、チャビのコーナーをプジョルが頭で合わせ、最後にしてカンプノウは大いに盛り上がりを見せる。よっしゃー!となるスタンド。そしてミスからボカにカウンターをくらい、1対1の局面を作られあわや、というところでピントが好セーブ。わっしょい、わっしょい!すると94分には右サイドからチャビが上げたクロスにエトーがヘッドで合わせて2-1!逆転勝ち!なんだかんだで、スタジアムはお祭りムードとなっていた。
“プランB”が機能せず、さっぱりだった前半から後半の半ばという課題が残ったが、選手交代によってレギュラー格を入れることで正常なプレーを取り戻し、最終的に逆転したのはご立派。同点で満足せず、最後の最後まで攻めた姿勢は良かったので、今後も続けていってほしい。
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