事実上の消化試合で、初の黒星を喫したチームペップ。
カンプノウでの第1戦を4-0で勝利しているため、バルサにとっては手続きのための試合。しかし地元ファンの前でいいところを見せようというビスラにとっては、気合の入る試合だった。このモチベーションの違いが、勝敗を左右したといえる。ビスラはクラブの誇りをかけて戦っていた。
試合前にペップらは「観光に来たのではない」と言っていたが、明らかにチームは本気度が欠けていた。バルサの命といえる中盤での寄せやボール展開にスピードがなく、攻撃のイメージもない。こういうのは十分に考えられたことであり、ペップも警告を発してはいたのだが、今回は監督の動機付けも選手たちにとっては不十分だったようだ。
ゲーム自体は、高い守備ラインによって、楽しくなりそうな気配を出しつつ始まっている。しかしこの日は中盤でのボール展開がいまいち。チャビやイニエスタにボールは渡るも、そこからいい具合にゲームが作り出せないのだ。プレシーズンには見られた、ケイタの積極的な突破も見られなかった。
ボールは支配する。けれどビスラ陣内にスペースが見当たらない、作れない。ビスラはバルサが致命的なエラーを犯す瞬間を、じっと待ち続けていた。もともと守備はいいビスラ。モチベーションに欠けるバルサなら、守ることは出来る。足元でばかりボールをもらうアンリは怖くないし、個人技突破を試みるエトーもさほど脅威ではない。
そして19分、ビスラが待っていたチャンスが訪れる。ピケとバルデスの受け渡しが上手くいかず、バルデスが無理に処理したボールがビスラに取られてしまうのだ。しかしこのピンチはシュート(バセリーナ)が枠を外したため、間一髪でセーフ。さらにビスラは35分にパベル・ブロセクがきわどいシュートを放っているのだが、これはバルデスの好守によって阻止されている。
まったくいいところがなく前半は終了し、ロッカールームでペップの檄が飛ばされたのだろう。後半最初の5分、バルサは目が覚めたように激しいプレーを展開する。しかしああ無情、51分にコーナーからクレベルに頭で合わされて失点すると、その時点でバルサは一気に電池切れ。そこからは逆転勝利を決めてやろうという意志はほとんど感じられず、選手交代によってチームに縦への突破力をもたらそうというペップの試みも、上手くいかなかった。
先制点を奪ったことでスタジアムは大いに盛り上がり、地元ファンの声援を受けたビスラもまた、大いに集中力を発揮していた。そうなってしまえば、運が大量に味方にでもなってくれないかぎり、バルサに勝ち目はない。後半最大のチャンスは67分、アルベスのクロスをGKパベレクがこぼしたシーンか。73分にボージャンが登場してからは若干は動きが良くなったバルサではあったが、それでもゴールを陥れるには至らなかった。
ということで、生まれ変わったとされていたチームペップであっても、刺激に欠ける試合ではファンを喜ばせるプレーは出来ず、コーナーであっさりと失点して負けるということが証明された。チャンピオンズ本大会への切符は手にしたものの、残したイメージはよろしくない。試合後、ペップは選手たちにどのような言葉を与えたのだろうか。
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