本拠地でのヨーロッパ開幕戦、順当にバルサが勝利。公式戦での今季初勝利となった。
この試合に向け、ペップ・グアルディオラは召集メンバーから左ラテラルのレギュラーとなっていたアビダルを外していた。普通であればシルビーニョかカセレスが登場となるのだが、監督の考えは違っていた。なんとプジョルを左に配し、3バックのような陣形を取ってきたのである。大事なチャンピオンズ初戦で、よもやのテストとは驚きだ。
出足は快調に思えた。スポルティングはラシンほどにエリアを守りで固めるでもなく、いくらかのスペースを与えてくれる。ラシン戦後に監督から「シュートを打て」と言われていた選手たちは、序盤から積極的に相手ゴールにめがけシュートを放っていた。ただし、精度があったかといえばそうではない。アンリ、イニエスタ、チャビ、メッシ・・・いずれのシュートも枠を捉えず、いまひとつの感じだった。
ただ、いつもとちょいと違っていたのは、この試合は珍しくセットプレーが決まったことだ。20分、チャビによる左コーナー。ファーサイドに陣取っていたマルケスが、超フリーにてヘッドを押し込んだのである。これにてバルサは精神的にだいぶ楽になっただろう。ベンチでひと息、水を飲むペップの姿が、それをよく表していた。
そこからは、特にこれといって見せ場はなし。バルサはアンリとの連携にいくらかの向上が見られ、33分には個人技での突破、38分にはイニエスタのスルーパスからの抜け出しなど、ちょっとした存在感は出していた。その調子でリズムを上げていってくれるなら、オプションとして使えそうな予感。
スポルティングの前半のチャンスは、懐かしのロッチェンバックによる鋭いフリーキックくらい。ゴール前を固めてカウンターを狙うでもなく、ガンガンプレスをかけてくるでもなく、中盤で自由にパスを回せたバルサはやり易かっただろう。
後半のバルサは、特に無理をするでもない立ち上がり。ちょっとしたパンチの応酬のあと、58分、右を突破したチャビのクロスを競り合う際、正面のエトーが故意的に倒されたとしてペナルティの笛が鳴った。あからさまだったので、これは仕方なし。エトーが自らこのシュートを決め、安全圏と思える2点のリードを奪うことに成功した。エトーはその後、お役御免でベンチ盛り上げ役となっている。
概ねスポルティングの攻めをさくさくと摘み取っていたバルサではあったが、それでもなお幾つかの守備的な問題点は露呈された。後半も進むにつれ中盤でのプレスは甘くなっていったし、失点をしたセットプレーでのもろさも相変わらず。72分、エリア右からのフリーキック。ニアに飛び込んだトネルの右足はたしかに高く上がりすぎてはいたものの、簡単に危険領域に侵入を許してはいけない。セットプレーでの守備は、今後の緊急修正課題だ。スポルティング、これで1点差に詰め寄る。
ゲーム後半は、どちらかといえばスポルティングがペースを上げていた。バルサのチェックは前半のように機能しなくなり、バルデスの仕事の機会は増えている。幸いだったのは、スポルティングの攻撃にさほど正確さと気迫がなかったこと。ゆえにバルサとしては、さほど脅威は感じていなかっただろう。そして終了間際、待望の“流れの中からのゴール”が訪れるのである。
42分、左サイドにてそれまでにも何度か惜しい場面を作っていた、イニエスタのちょっと前に行き過ぎたかな、というセンタリングに、チャビが思い切り足を伸ばし、執念の右足でボールを流し込んだのだ。これにてスコアは3-1。カンプノウがほっと一息ついた瞬間だった。
そうして試合は終了。依然として流れるようなパス回しからゴールを陥れる、というような場面は見られず、守備面でも不安を残す試合ではあったが、なにはともあれヨーロッパ戦を白星発進できた意義は大きい。ペップはなにかと思案中のようであるし、早く答えが見出されることを願いつつ、とりあえずはこの勝利を喜んでおきたい。リーガに弾みのつく勝利でありますように。
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