守る相手を、打ち崩しての勝利。しかもフエラであるのが非常に大きい勝利だ。
中途半端な作戦では、今のバルサタイフーンには飲み込まれてしまう。レクレアティボは自分たちの能力に限界があることを知っており、徹底した守備戦術を採用してきた。自陣の半分まではバルサに自由にさせてもいい。しかしそこからは各ラインが組織立ったプレスをかけ、スペースは一切与えない。まず0-0を狙い、上手くいけばカウンターによって1-0で勝つ作戦だ。
このレクレの守備戦術に、バルサは手こずることになった。ボール支配率は7割と圧倒的ながらも、エリア周辺にスペースがほとんど見つけられない状況。いくらクラック揃いといえどもこれは苦しく、最初のシュートが19分、メッシのミドルだったことからも簡単ではなかったことが見て取れる。しかしこのあたりから、バルサは徐々にレクレ守備網に穴を見つけていくのだった。
まずは21分、右サイドから切れ込んだメッシが、エリア内からシュート。これは惜しくもGKリエスゴの正面。続いて27分、アルベスが上げたクロスを逆サイドのアンリが頭で落とし、詰めていたブスケスが思い切りよくボレーシュートを放つも、クロスバーやや上に外れた。さらにその1分後には、ピッチ中央付近からドリブルで切れ込んだエトーが、エリア際からずどんとシュート!だがこれはリエスゴがジャンプ一番、寸でのところで弾き出している。
その後33分、レクレはコーナーからアルソが叩き付けるヘディングシュートを放つのだが、バルデスは難なくキャッチ。彼らのチャンスは、これくらいだった。すぐさまバルサは36分に反撃。メッシが右サイドを、執拗なマークを振り切りながら力強いドリブルで駆け上がる。そしてエリア際、守備陣を十分にひきつけ、ファーにいた超フリーのアンリへパス。しかしアンリから放たれたシュートはぼてぼてで、ファンはずっこけることになるのだった。
そうして前半は0-0で終了。バルサにしてみれば、何点かは取っていてもおかしくはない内容だった。だがレクレアティボの気迫がそれを阻止したということで。実際、彼らはよくやっていた。バルサとて、いつでもゴレアーダに出来るわけではない。
そして後半、48分、49分と立て続けにドリブル突破にてレクレを脅かしていたメッシが、ついに均衡を破るゴールを決めた。50分、アルベスが蹴ると見せかけたフリーキックを、チャビがちょこんと前へ流す。そこにするりとメッシが抜け出し、豪快なシュートをどうだとばかりにレクレゴールに突き刺した。ライカー時代には絶対に見られなかったような、頭脳的なセットプレー。小技も効かせるところが、ペップバルサの憎いところだ。
後がなくなったレクレアティボは、選手交代(二枚替え)によって攻撃に出ざるを得なくなる。バルサにとっては、スペースが生まれるのでそれは歓迎なのだが、その一方でバルデスが脅かされる場面も増えていた。61分にはカムニャスに右サイドを突破され、正面のアカレがシュート。これは辛くも枠の外。63分にはコーナーからのアルソのヘッドがポストを叩いている。
ただ、スペースを掴んだバルサも攻撃の手を緩めてはいなかった。65分にはエトーが正面に切れ込みシュート、71分にはアンリのクロスバー直撃弾。74分にはチャビが強引にエリア内へとドリブル突破(最後、エトーのシュートは枠を捉えず)。さらに82分、再びアンリのシュートがポスト直撃・・・どうもこの日は、アンリのシュートはバーに吸い寄せられるようだった。
しかしシュートがダメなら、アシストがある。85分、左エリア際からマークを外して上げたアンリのクロスを、逆サイドのエトーが右足ダイレクトシュート。これは上手くヒットしなかったのだが、詰めていたケイタが押し込んでネットは揺れた。終了間際に、待望の追加点きたる。バルサの勝利が、決定付けられるゴールだった。
そして後半ロスタイム、バルサはスコアを0-3とするチャンスを逃している。アルベスが蹴ったフリーキックにボージャンが上手くヘッドで合わせるのだが、これがまたしてもクロスバーに弾かれているのだ。こういうツキのないゲームは、たまにある。なんにせよ、バルサはフエラで守る相手を崩してのリーガ9連勝。前日に散ったマドリー、バレンシアとの差を5ポイントに拡大した。この勝利のもつ意味は、でかい。
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