週末のヘタフェ戦、低調なプレーで引き分けに終わったペップバルサは、このリスボン戦を景気のいい勝利で終え、“トゥールマレ”に突入することを目標としていた。注目だったレオ・メッシは、先発出場。一気に勝負を決めたいという、監督の意図がうかがえる。そしてアルゼンチン人クラックは見事にその期待に応えてみせるのだった。
まずは7分、カウンターによるメッシのドリブル突破にスポルティングは2人がかりで止めにかかり、ハードなタックルでようやくこれを阻止。エリア際からのフリーキックとなり、チャビのシュートがクロスバーを直撃した。とりあえずはご挨拶、といったところだ。
先制点は、14分だった。中心となったのは、やはりメッシ。ブスケスからの縦パスを受けたあるレオは緩急あるドリブルで右サイドを突破、ゴールライン際からボールを折り返し、ニアサイドに走りこんだアンリが押し込んでみせるのだ。
さらにその3分後には、早くも追加点が訪れる。エリア左からチャビが上げたクロスを、ファーにいたグジョンセンがどうやったか背中でトラップ(?)し、混戦の中からピケが足を伸ばしてゴール。密集地帯だったため、相手デフェンサに当たったりもしたようだが、記録はピケの得点。彼にとってのバルサ初得点である。
この2失点目は、スポルティングに大きな精神的ダメージを与えたようだった。プレスは緩くなり、バルサは余裕をもってボールを展開できるようになる。主導権は完全にバルサにきていた。しかしだからといって、さくさく追加点が奪えるわけでなく。試合はそのまま落ち着きをみせ、ハーフタイムを迎えることになった。
そして後半。ピッチにはアンリに代わってボージャンが登場していた。試合再開の笛がなると同時に、スポルティングゴールに押し寄せるアスルグラーナ。48分のアルベスのシュートは枠を外れるが、その1分後はそうはいかなかった。エリア際でのフリーキック、スポルティングが油断している隙を突き、アルベスが素早くボールを蹴りだし、抜け出したメッシが悠々とネットを揺らしたのである。
0-3。ゲームはこれで決まったかに見えた。グアルディオラはすかさずメッシをベンチに下げ、ペドロを送り込んでいる。しかしスポルティングの気持ちはまだ死んでいなかった。3点差にされ、むしろ意地で燃えたようだった。64分からの2分間、バルサ守備陣は混乱に陥る。あっという間に2点を返され、リードが1点になってしまうのだった。64分、ベロソの得点はフリーキックから。エリア正面右からのシュートを、直接ゴール左隅に突き刺された。絶妙のコースだった。
そもそもこのファールは、存在していないマルケスのハンドに対して吹かれたものだったが、それは仕方ないとしても、防げたのは65分のリエドソンのゴール。GKから前線に一発放り込まれたボールをマルケスがクリアしようとして失敗、絶妙のアシストパスとなり、突破したリエドソンにバルデスと1対1になる場面を許し、2-3にされてしまうのだ。
大いに盛り上がる、ジョセ・アルバラーデ。こりゃ、逆転出来ちゃんじゃないの?てな空気がスタンドには溢れていた。しかしその喜びも、ほんの束の間だった。66分、中盤のブスケスからエリア正面にいたペドロへと送り込まれたボールを、競り合いながらクリアしようとしたカネイラが、まさかの自ゴールへのバセリーナ。ドタバタの2分間に、終止符が打たれた。
そして少々バタバタもしながらバルサは73分、トドメを刺すチャンスを得る。グジョンセンのパスに抜け出たボージャンの突破を止めようとしたGKルイ・パトリシオがファールを犯し一発退場。そのままボージャンがキッカーを務め、彼のシュートは急遽出場となったチアゴにあわや止められそうになったが、辛うじてボールはキャッチを逃れ、ゴールラインを越えた。
人数で一人有利になり、スコアは2点差。ようやくバルサはコントロールを取り戻し、スポルティングの反撃を跳ね返した。唯一86分、デルレイから至近距離のヘディングを許しているのだが、これはバルデスが気迫の好セーブ。価値ある勝点3を獲得し、C組の1位通過を確定させた。ミッションコンプリート!さあいよいよ、週末からは“トゥールマレ”だ。待ってろ、セビージャ。
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