完全なる消化試合。若きバルサはそれでも果敢に勝利を目指したが、今回は運なく黒星を喫した。公式戦不敗記録は20でストップ。
バルセロナが所属するグループCは、すでに全ての順位が確定していた。シャクタールにとっても、手続き上だけの試合。あとは意地とプライド、勝利ボーナス60万ユーロだけを賭けての戦いである。そんなモチベーションの難しいゲームに、バルサ選手たちは非常に真剣に入っていった。勝って締めくくる。その気迫は前半15分を超えるまで、シャクタールがバルサ陣内にほぼ踏み込めなかったことからも窺えた。
オールサブといってもいいほどの先発メンバーだったが、あらゆる面でシャクタールを凌駕していたバルサ。顔ぶれは変われど、プレスは十分にかかっていた。試合前にロッカールームにて、かなりペップに“激しくいけ!”と指示されていたのだろう。試合中の監督も、これが消化試合だとは思えないほどに、懸命に指示の声を送っていた。
しかしいくら好調バルサといえども、成熟度に欠ける面子では最後の崩しが上手くいかない。守備での細かい連携も、もうひとつ精度に欠ける。圧倒的にゲームを支配しておきながら、ヤングバルサは呆気なくシャクタールに先制を許してしまうのだった。30分、左サイドからエリア内にボールを送り込まれ、最後は詰めてきたグラドキイにフリーでシュートを打ち込まれた。珍しい、パスをつながれての失点。
“まさか”のリードを奪ったことで、シャクタールは勢いづいた。サイド攻撃を中心に、ジョルケラの守るゴールを脅かすドネツク。バルサもどうにか同点で前半を終えたいところだったが、これといってチャンスを作ることも出来ず、そのままハーフタイムを迎えている。
後半になっても、状況は特に変化しなかった。ボールはバルサが回すものの、決定機を生むには至らない。そして一発のチャンスでシャクタールにゴールを許す。56分、2失点目はセットプレーからだった。エリア左、コーナー付近からのフリーキックをまたもグラドキイに頭で押し込まれてしまう。上手くいかない時は、こういうものだ。
しかし今回は、バルサのリアクションは早かった。そのわずか1分後、エリア際でのケイタとの壁パス交換から、シルビーニョが豪快なシュートを叩き込んで1点を返すバルサ。大ベテランがここにきて存在感を示した。
ここからも、同点、そして勝利を目指してのペップバルサの奮闘は続いていく。決して手を抜かず、勝利も諦めないという姿勢はグッド。ただ、如何せんレギュラーメンバーを多く欠くチームでは、いまひとつゲームメイクと守備で歯車がかみ合わない。シャクタールに与えた3点目は、それをよく表していた。
エリア際正面付近から左にボールを回され、深く持ち込まれてファーポストへのグラウンダーのクロス。ボールは完全フリー状態でフェルナンジーニョに届き、あとはただ押し込むだけだった。およそ最近のバルサらしからぬ、ちぐはぐな守り。どうしちゃったの?というところだ。
バルサはその後、ペドロに代えてグジョンセンを投入する。そしてこの采配が、ピタリと的中した。83分、グジョンセンからの絶妙な縦パスを受けたブスケスが、上手くボールをコントロールし、待望の追加点を決めるのである。盛り上がるバルサ。ここから選手たちはシャクタールのゴールに襲い掛かるのだが、残念ながらその攻撃はいつもの精度を欠いていた。結局新たなる得点は生まれず、ゲームはそのまま2-3で終了している。
クラシコを前にしての、敗北。しかしこれがチームの士気に影響を及ぼすことはない。むしろ90分間最後まで、勝利を目指した姿勢が評価されるし、それは確実に次へとつながっていく。待ってろ、マドリー。この日のフラストレーションを、クラシコで晴らさせていただこう。
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