新年一発目の、ミニ冬休み明けのゲーム。心配されていたのは、選手たちがしばらくゲームから離れていたことによるリズム、試合勘の低下だったが、実際のゲームもそんな感じとなった。ボールへのプレスはまずまずなのだが、いつものようなフリー選手の動きが少なく、引いて守るマジョルカの陣形を崩せない。暖機運転、そんな様子だった。
序盤の唯一のチャンスは、12分、トゥレからの一本のスルーパスにエトーが抜け出し、直接ボレーシュートを放った場面。これは惜しくもポスト右をかすめている。
マジョルカの狙いは徹底していた。自陣深く守り、一瞬のチャンスを見つけては、前線のアドゥリスへ一本のパスをつないで速攻カウンター。これが14分、まんまと決まってしまうのだから、マンサーノ監督は「してやったり!」だっただろう。トゥレ・ヤヤの不注意を突いてボールを奪ったアドゥリスが、ピッチ中央から一気にドリブル開始。ビクトル・サンチェスを軽々と抜き去ると、そのままエリアまで独走、落ち着いた緩い浮き球シュートでバルデスの頭上を破り、見事先制点をゲットするのである。
バルサにエンジンがかかり始めるのは、25分を過ぎた頃から。最初のビッグチャンスは26分、右コーナーキックからチャビがスペースへとボールを流し、詰めたグジョンセンが豪快にボレーを放ったシーン。これはクロスバー直撃となった。さらに2分後、プジョルが切れ込み、エリア内混戦からトゥレ・ヤヤのシュート。こちらはGKルクスが気合の左足にてクリアしている。
そして31分、怒涛の攻撃はついに同点弾を生む。今度もまたコーナーだった(右サイド)。キッカーはチャビ。ニアのプジョルが頭で落とし、ファーにいたアンリがボールをコントロール、難しい体勢ながらも素早くシュートに持ち込む。そしてボールは右ポストに当たりながら、ゴールへと吸い込まれていった。執念と努力が報われた、そんな得点だった。
ゲームはそのまま、1-1で折り返す。前半と同じく、後半もボールはバルサが圧倒的に支配した。しかしこれといった決定機は作れない。唯一歓声が沸いたのは、57分、アンリのトリッキーな背面パスにエトーが反応し、シュートまで持ち込んだ場面。しかしボールに勢いはなく、またルクス正面で難なくキャッチされた。
流れが変わったのは、66分、フレブを下げてイニエスタを送り込んでからだった。2ヶ月ぶりの実戦ながら、登場するや否や、卓越したボールコントロールで存在感を発揮。その刀が錆付いていないところを見せ付ける。そして75分、逆転弾まで決めてしまうのだから、この人は特別だ。チャビのロングシュートがエトーに当たり、そのこぼれ球にグジョンセンが追いつく。そしてグッディはエリア内右からファーにパスを流し、走りこんだイニエスタがこれを押し込んだのだった。グジョンセンもイニエスタもオフサイドっぽくも見えたプレーだったが、主審は合法と判断した。
不本意な逆転を喫し、ショックもあっただろう。マジョルカはリアクションを起こせなかった。マンサーの監督は攻撃的な交代で状況を打開しようとするが、バルサはこれをきっちりと阻止。マジョルカは後半、シュートを1本しか放てていない。バルサもクリスマス前のように本調子ではなかったのだが、それでも勝ちを引き寄せるところはさすがだ。ゲーム終盤には、スタンドからの「オーレ!オーレ!」の大合唱も起こっている。
そしてロスタイム、先制点を奪われる切っ掛けとなった男が、最後に名誉挽回とばかりに気を吐いた。91分、アルベスのクロスはデフェンサにカットされるも、エトーが拾って中央に上がってきたトゥレにパス。岩男は巨躯に似合わぬ細かいボールタッチでマジョルカ守備網をかいくぐり、ついには至近距離から豪快なシュートをネットに突き刺してしまうのである。この人、攻撃センスあります。これからも折を見て、爆発してほしい。
ペップは試合後、こう言っている。「5-0で勝つより、こんなゲームをものにするほうが意味がある」。予想された難しいゲームでリードを許し、それを逆転しての勝点3。本調子でなくとも、最後はまとめる力があるところを再び示し、勝てたのは非常に大きい。2009年も、バルサは勝ちまくっていくぞ!イニエスタ、復帰おめでとう!
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