誰が出場しても強いバルサ。意地を見せたいアトレチコを、いなして勝利している。
この日もペップ・グアルディオラは、大胆なローテーションを採用してきた。週末のリーガ戦から、先発を9人入れ替えてきたのだ。バルデス、チャビ、ピケ、エトー、アンリらはスタンド観戦。プジョル、メッシ、アビダル、ケイタらがベンチから試合を見つめた。昨年までなら、正直少し物足りないメンバーである。
実際、ゲーム序盤のバルサのプレーは、凍える空気と同じように寒かった。アトレチコは最初のうちは警戒し、抑え気味にきていたのだが、バルサが出てこないのを確認すると、徐々に元気を出したようだ。6分、バルサのゴールが無効となったのも、彼らには救いだった。アルベスのフリーキックをブスケスが頭で合わせるも、これはGKクペが好セーブ、そのこぼれ球をマルケスが押し込んだのだが、主審メフト・ゴンサレスはマルケスの位置をオフサイドと判定した。
なんだかんだでバルサはボールを支配し、チャンスもそれなりに作り出してはいたのだが、アトレチコの最初の決定機で失点をしてしまうのは、ここ最近のよくない流れ。23分、シマオのフリーキックへの対応をピントが誤ったところを、シナマ・ポンゴレにヘッドで決められてしまうのである。
もしあと1点奪われたら、ややこしいことになりかねない。そんな空気がスタジアムに漂ったその5分後、再びクレに活気をもたらしたのは、ボージャン・ケルキックだった。左のシルビーニョからのクロスを、ペナルティスポット付近からドフリーでヘディングシュート!これがズドンと決まってしまうのだから、やるじゃありませんか。リーガでは無得点だが、チャンピオンズとコパで計5得点。出番をもらえれば、役目を果たしてくれる。
これで、チームに平常心は戻った。しかしただひとり、ナーバスになってしまっていたのがカセレスだった。気負いすぎていたのだろう、短い時間に2回、シマオとアグエロに決定的なボールを渡してしまったカセレス。アグエロはボールコントロールに失敗、シマオはあわやゴールとなるシュートを放ったものの、マルケスが辛うじてラインギリギリでクリアに成功。ともに事なきを得ている。
前半はその後、43分と45分にアルベスが2度、シュートとフリーキックで見せ場を作り、終了した。そして後半も、バルサペースでスタート。とはいえ、3点奪われねば問題のないゲームなので、全体としての気合の入り具合は、それほどでもなかった。アトレチコはそこをどうにか突いていきたいところだが、これといった決定的な場面を作り出せない。これといった盛り上がりもなく、後半はじりじりと時計が進んでいった。
勝負の行く末は72分、アグエロが負傷交代した時点で事実上決したといえる。その直前、ペップはフレブに替えてメッシをピッチに送り出している。
そんな中、違いを見せてくれたのはイニエスタだった。75分、左サイドから、巧みな突破で守備陣を抜き去り、セルジ・ブスケスにこれぞ、というパスを供給。残念ながら彼のシュートはGKクペのセーブによって阻まれるのだが、その次のグジョンセンのシュートには、さすがにどうすることも出来なかった。2-1。完全なるダメ押し点だった。
あまりパッとしないバルサだっただけに、上手くやればアトレチコにもチャンスはあったかもしれない。けれども彼らは、その機会を活かせなかった。結局のところ、ビセンテ・カルデロンの1-3でコルチョネロたちも意気消沈していたのだろう。いえるのは、2戦を通じてバルサが相手を明らかに上回っていたこと。さあ、次はエスパニョールが待っている。1/4ファイナル第1戦は、1週間後にモンジュイックにて。ハードな日程だが、楽しいゲームになることを期待したい。
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