ペップバルサの快進撃は、どうにも止まらない。前半戦で50ポイント獲得は、リーガ新記録。
この日はキックオフ直後から、デポルティーボを圧倒していた。最初の決定機は開始30数秒にて訪れている。チャビのスルーパスにメッシが抜け出し、右足でワンタッチで折り返したところ、中央のアンリ!GKアランスビアが、どうにかこれを防いでいる。
そこからの数分、デポルはボールに触れることすら出来ずにいた。これぞ完全なる、ボール支配。パス展開、リズム、位置取り、スピード、すべてにおいて文句なし。デポルはボールを手にしても、何もすることなくバルサのプレスに絡め取られている。
思ったよりも時間のかかった21分、バルサは先制点をゲット。センターライン付近でボールを奪ったチャビからメッシへとボールが送られ、メッシは猛然とドリブルを仕掛けていくのである。寄せはするものの、それ以上はどうしようもないデポル守備陣。するするする・・・と縦斜め方向へ切れ込み、エリア内に入ってから、ころころシュートをゴール右隅に流し込んだのだった。
ここからはもう、さらに一方的なバルサショーの始まりだ。2点目、3点目の立役者はダニエル・アルベス。彼のアシストパスはここにきて、凄まじい武器となっている。まずは2点目のシーン。27分、起点はメッシが懸命に追いついたボール。それを受けたアルベスが、右足アウトサイドでボンと浮き球パスを送り、エリア内のアンリがデフェンサと競り合いながらも見事なヘディングシュート!ダニはこれで今季9アシスト目。ラテラルとして、驚異的な数字である。
さらにアルベスは36分、今度は鋭く速いセンタリングにて、メッシのヘディング弾をアシストしているが、これは惜しくもポスト左。メッシは天を仰いだ。完全にフリーだったのに!残念!
メッシ、アンリとくれば、エトーだって黙っちゃいない。最近はやや“お休み気味”のエトーだが、ゴール勘は健在。41分、ダニが入れたスローインを、メッシがヘディングでスルーパス。これにアルベスが走りこみ、絶妙のクロスを供給。中央でケイタが合わせ、アランスビアがどうにか弾いたところを、目の前のエトーが詰めたのだった。
前半だけで3-0。こうなってしまうと、後半はギアを幾つか落とし、省エネモードでのゲームとなる。必然的に、デポルティーボがボールに触れる回数は増え、バルサエリア近くまで迫ってはくるのだが、この日の彼らにそれ以上のことは出来ない。試合を通じ、シュート数が1本なのが、力の差を如実に物語っている。
後半、停滞していたゲームを一気に活気付けたのは、イニエスタの登場だった。ピッチ脇でアップをするだけで、イニエスタコールが発生。そしてトゥレ・ヤヤに替わってプレーを開始するや(71分)、彼は隠しようのない存在感を発揮した。72分、左のアンリからのクロスに、軽くジャンプしながらの強烈なボレーシュートで合わせてみせるのだ。イニエスタ劇場の幕開けだった。
そして82分。イニエスタから悪魔のようなスルーパスがエリア内のチャビに通り(エリア左角での大きなワンツー)、チャビは冷静に中央のアンリへとパス。これをアンリがきっちりと押し込み、4-0となった。
さらに85分、またしてもイニエスタからの絶妙なるスルーパスが繰り出される。反応したのはプジョル(!)何故プジョルがそこにいたのかは定かではないが(笑)アランスビアと1対1になる。そして堪らずアランスビアはプジョルを倒し、レッドカードで一発退場。デポルは交代枠を使い切っていたので、ファン・ロドリゲスが緊急でポルテーロとなった。ペナルティはエトーがきっちり決めて、5-0。カンプノウはその後、ウェーブに沸いている。
バルサはこうして、獲得可能な57ポイント中、50を手に入れるという驚異的な強さでリーガ前半戦を折り返した。まだ道半ば。しかし2位に12ポイント差をつけ、圧倒的に優勝に近い位置にいるのは間違いない。久しぶりに、無失点でゲームを終えられたのも、明るい材料だ。
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