スペクタクルの欠片もない、シュートすらほとんどない試合。
ペップ・グアルディオラは今回も、先発メンバーを大胆に入れ替えている。週末のリーガから続けて出たのは、プジョルとケイタのふたりだけ。今回は出ずっぱりのダニ・アルベスがお休みとなった。カセレス、シルビーニョ、フレブ、ボージャンらを起用した、どちらかといえばコパ専用編成だ。
対するエスパニョールは、レギュラーを多く起用した布陣。この試合がデビュー戦となるポチェッティーノ監督の、コパは捨てない、という意思が窺える。バルサ相手にいい試合をすることで、モラルを注入したいところだ。
そしてペリコたちは、キックオフ直後から積極的に出てくる。1分が経つか、という時点で、2回のコーナーを手にしたのだ。さらにバルサは、前半10分にマルケスがいきなり左太もものダメージで負傷交代。こりゃ厳しいゲームになるな、との空気が、バルセロニスタの間に流れた。
ゲームはほぼ、ピッチの中央付近で展開された。中盤での激しい潰しあい。バルサにはいつものリズムはなく、そのパスはエスパニョールにカットされてしまう。流れるボール展開は、鳴りを潜めていた。一方のペリコも、これといって前線にボールを送れない。両チームとも、まずは守りに意識を集中させているようだった。どちらかといえば、エスパニョールのペースだ。
運動量で劣るバルサが、前半で掴んだチャンスはひとつのみ。32分、イニエスタが個人技からシュートに持ち込んでいるのだが、これは難なくカメニがセーブ。前半最初にして最後のシュートだった。紛れもなくバルサにとって、今季最低レベルの前半45分。
対するエスパニョールは前半、3度ほどチャンスを手にしている。そのなかでも一番際どかったのが、42分のルイス・ガルシアのシュート。勢いのあるいいシュートだったが、バルサにとっては幸運なことに、これは枠を少しばかり外れていた。
後半はまたもエスパニョールがいきなりのコーナーを手にするなど、前半と同じような感じでスタートしている。しかし疲れもあるのか、ブランキアスールのプレーから激しさは確実に失われていた。しかしバルサはといえば、引き続きダメプレーの連続。パスの精度は悪く、簡単にボールを失い、パス展開にアイディアもない。どちらのチームもシュートすらまともに放てないまま、時間は経過していった。
ピッチ上では、ペップバルサ今季ワーストといえるゲームが繰り広げられていた。悪かった前半より、さらに酷くなっている後半。そしてそれは、選手交代によっても変わらない。ペップは局面打開のためにチャビとメッシの両クラックを送り込むのだが、それでもなにも変化はなかった。クラックといえども、万能ではない。ゲームはそのまま、0-0のまま終了した。
このペップバルサが、ひとつの注目プレーもないままにゲームを終えるのは、逆に貴重ともいえる。そんな皮肉くらいしか、思いつかない凡戦だった。結果だけいえば、カンプノウでの第2戦があるバルサにとっては、幾分有利なスコア。しかし次にチャンスが残ったことで、エスパニョールもさらに気合を入れてくるだろう。次はエンジン全開でのプレーが不可欠となる。
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