強い。毎試合ごとに言い飽きた感もあるが、他にこれといって気の利いた形容も見当たらない。しかもただ強く結果を残すだけでなく、スペクタクルなプレーで観る者を満足させてくれるのが、そんじょそこらの白いクラブとは違う。今日もカンプノウにて、別次元のバルサが躍動した。
試合はまず、バルセロニスタにとって忘れられない人物、キニーを称える拍手で始まっている。1980年からバルサに4年間在籍し、2度のピチーチ獲得。偶然の成り行きから、その英雄がスポルティングのベンチに座ることになり、ペップと挨拶する姿にカメラが群がった。これもきっと、フットボルの神が用意したイベントだ。
さてゲームだが、キックオフ直後から圧倒的にバルサが支配した。これは単にボールを保持したのではなく、文字通りの支配。自分たちの思うようにボールを展開し、パスをカットされても瞬時のプレスであっという間に絡め取る。スポルティングに、選択肢はなかった。エリア周辺にラインを並べ、恐怖の波状攻撃を凌ぎきるだけだ。
序盤、スポルティングはよく守っていたといえよう。どうにかスペースを消し、テクニックの差を数的優位で補うことに成功していた。バルサは何度となく分厚い攻めを仕掛けるが、最後のところでヒホンの守りを崩せない。アルベスが右サイドをえぐり、至近距離でアンリが放ったヘディングシュートも、GKラフエンテの好守によって阻まれている。
だがそれも、24分までだった。きっかけはスポルティングのコーナー。そのこぼれ球を自陣エリア前でイニエスタが拾い、一気にスピードあるドリブル開始。美白カンテラーノは絶妙のコース取りでそのまま攻めあがると、ここぞのタイミングで左を併走するアンリにパスを送り、アンリはダイレクトでエリア内に折り返した。最終ラインとポルテーロの間への、極上のパス。あとは詰めていたエトーが、ただ押し込むだけだった。今季通算100ゴールにて、バルサが先制に成功する。
リードを奪い、バルサのゲーム支配はさらに圧倒的なものとなった。ボール支配率は、8割近かっただろう。木曜のコパから中二日、疲労も蓄積しているだろうに、そんな様子は微塵も見せない。勝っているときは、疲れは感じないのだ。
そして40分、追加点。決めたのは、またもエトーだった。メッシからのスルーパスをエリア内で受けると、深く速い切り返しでデフェンサを処理。得意の右足に持ち替え、豪快にシュートを蹴りこんだ。弾き飛ばされる、ラフエンテの右手。
後半に入っても、ゲームの大勢に変化はなかった。バルサがボールをことごとくコントロールし、スポルティングは大量失点を避けるために、それをどうにかやり過ごす。55分から60分にかけては、バルサのチャンスが連続した。だがこれらは、ゴールならず。ゲームを完全に決定付ける3点目が入ったのは、66分。ダニ・アルベスのゴールだった。
イニエスタからのメッシを狙ったパスがデフェンサにクリアされるも、これを突っ込んできたアルベスが頭でメッシに返す。メッシはポストとなってアルベスが再度ボールを受け取り、そのままゴールエリア角まで切れ込み、豪快に右足シュートを突き刺したのだった。デフェンサがやるプレーではない。
3点差をつけ、バルサのギアはここで少々落とされる。そして68分、セットプレーからあっさりと1点を許してしまうのだった。フリーキックのクリアが小さかったところを、途中出場したばかりのキケ・マテオに拾われ、そのままミドルシュートを決められてしまったのだった。
だが、それでどうこうなるわけでもなかった。バルサはペースを緩め、それに比例してスポルティングがボールを持つ時間帯は増えたが、これといって見せ場を作るでもなく、そのままゲームは終了している。バルサはまた勝利をひとつ重ね、残り試合数はひとつ減った。11試合前に失敗したリーガ10連勝も、今回はしっかり達成。7連勝しても12ポイント差のまま縮まらないマドリー。お疲れ様である。
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