コンディションが下降期にあり、何かとお疲れムードのペップバルサ。デルビーでの手痛い敗戦を払拭したいこのゲームに、グアルディオラはそのデルビーとほぼ同じメンバーを起用してきた。敵地であっても、自分たちの流儀を貫いていけ、というペップのメッセージ。
ただ、序盤からゲームの主導権を握ったのはリヨンだった。しかも気付いていれば、先制されていたという感じ。前半7分、特にピンチとも思えないようなピッチ左端、遠距離からのフリーキックを、まんまとゴールにされてしまったのだ。蹴ったのは、必殺仕事人であるジュニーニョ。ボールはふわりと放物線を描き、そのままバルデスの頭上を越えていった。スペシャリストにやられたとはいえ、ポルテーロにとって悔しすぎるゴールだ。
不調バルサにとって、この失点はダメージとなる。逆にリヨンは、非常に景気付いた。そこからの20分ほどは、バルサにとっては悪夢のような時間。チームは混乱に陥り、守備陣は特にぐらぐらに揺れていた。直後の8分には、あわやベンゼマに2点目を入れられるか、の大ピンチ。ロングボールへの対応を両セントラルが誤ってしまったのだ。ベンゼマがシュートを外し、バルサは命拾いする。
その後も、バルサの綱渡りディフェンスは続く。17分にはバルデスの不十分なクリアがケイタ(リヨン)に渡るも、彼のハーフボレーは枠を捉えず、クレはほっと一息。さらに28分にはベンゼマのシュートがポストに弾かれるなど、よくもまあ追加点が入らなかったものだという展開だった。このゲームにバッチリ備えていたリヨンがコンディションでバルサを圧倒、そのスピードとプレスにバルサは成す術もなかった。
バルサのチャンスといえば、15分のエトーによるポスト直撃弾くらいか。ハーフタイム前になるとさすがにリヨンにも攻め疲れが見られるようになり、バルサも幾分ペースを掴めるようになっていたが、それでも決定機を作るには至らない。40分、アルベスのセンタリングのこぼれ球にブスケが頭で合わせたシーンが、ほぼ唯一得点の匂いがするプレー。しかしボールはバー上方を通過した。
そして後半。ロッカールームでのペップの言葉が冷静さを取り戻させたのだろう。脆かった守備ラインはどうにか安定感を取り戻し、前線での流動性もアップ。バルサらしさが、少しではあるが戻ってきていた。プレスも効きはじめ、リヨンは前半のようにボールをコントロールできなくなっていた。彼らには、前半の猛烈プレスの疲れが窺えた。
ゲームは雑になっていた。両チームが繰り出すファールによって、プレーは頻繁に中断。ピッチ上はなにやらゴタゴタした雰囲気になり、今回の場合、それはバルサに味方した。ゲームを自分たちの手で、仕切りなおせたのだ。
ムードを一変させたのは、セットプレーだった。57分にはアルベスのフリーキックが壁に当たりつつも、あと少しでゴールかという場面もあったが(GKジョリスがどうにかクリア。ジョリスは67分にも、ピケのヘディングをクリアしている)、その直後のアンリ弾は防げなかった。チャビのコーナーをニアのマルケスが頭でそらし、ファーのティティが頭で押し込んだのだ。やはり、窮地を救うのはセットプレー。練習はしっかりしておくもんだ。
バルサはこの同点弾にて、落ち着きを取り戻した。今度はバルサが活気付き、リヨンががっくりくる番。リヨンはガス欠模様でもあり、後半は見るからに失速していった。脅威のカウンターも、すっかり鳴りを潜める。ゲームはバルサペースとなった。
もっとも、バルサも強引に追加点を狙う様子もなく、ペップは1-1で好しと判断したようだった。ひょっとすればゴールは奪えたかもしれないが、無理はしないバルサ。86分にはカルストロムに左サイドをえぐられ、ドキッとする場面もあったが、幸いベンゼマもケイタもこれに合わせられず。事なきを得ている。
ゲームはそのまま、1-1で終了した。どちらにとっても、最善でも最悪でもない結果。追いついたという点で、ややバルサが気分的に盛り上がっているだろうか。前半、1失点で凌げたのが大きかった。勝負は、2週間後のカンプノウへ持ち越される。願わくば、それまでにチームが下降気流から抜け出し、再びコンディションを上げていますように。
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