バルサに久々にスペクタクルが帰ってきた。出場停止となるアルベスの不在が不安視されたが、穴を埋めたプジョルが何かと活躍でスタンドは喝采。後半はゴールチャンスだらけであり、大ゴレアーダ祭りとなっていてもおかしくはないゲームだった。
序盤は、比較的静かな展開だった。バルサ、アスレチック共にこれといった決定機を作ることなく、じっくりとボールを回している。ゲームが賑やかになってきたのは、15分を越える頃から。16分、最初のチャンスはビルバオが手にしている。ボールをカットされてのカウンターから、ジェステに1対1のシュートを許してしまったのだ。しかしこれは枠を捉えず、クレは胸を撫で下ろす。
あれが決まっていれば、バルサは苦しくなっていただろう。だがその直後の17分、エリア左、チャビによるフリーキックにブスケが頭で合わせてあっさりと先制に成功。スタジアムの雰囲気は、これでぐんと明るくなる。今季はセットプレーから、実によくゴールが決まる。ブスケはこれが、リーガでの初ゴール。
ゲームの主導権はバルサががっちり手中に収めた。ビルバオはハードなタックルで、それに対抗するしかない。審判はもっと、厳しくカードを出してもいいところだ。中盤で輝いたのはイニエスタ。水曜に怪我から復帰した彼だが、やはり存在感はピカ一である。31分にはドリブル突破でエリア内に侵入し、アスレチックのファールを呼び込みペナルティゲット。これをメッシが、落ち着き払った緩いキックで決めている。2-0。
その後、数分間はアスレチックがバルサゴールに迫る。シュート数だけでは、彼らが上回っていた時間帯もあった。しかしフィニッシュの精度は高くなく、バルデスが脅かされるまでには至らなかった。逆にバルサは39分、プジョルのクロスにファーのエトーがチレーナで合わせるという場面も。ボールは惜しくも枠を捉えなかったが、これがエトーシュート失敗数え歌の序章となろうとは、まだ予想だにしていなかった。
後半は、ゴールチャンスだらけだった。決定機だけでも、およそ10回を超える。半分、いや1/3でも決まっていれば、余裕のゴレアーダになっていた。しかしこの日は、エトーもアンリもシュートが打てども打てども入らない。ポストに弾かれ、クロスバーに嫌われ、GKゴルカにセーブされ、とにかく彼らの日ではなかったのは間違いない。ボールが意地でも入ろうとしなかったのだ。
チャンスリサイタルは、47分のイニエスタ必殺ポスト直撃弾から始まっている。そして、次からはエトーのSHOWタイム。52分にはヘディングがゴルカによって弾き出され、54分にはメッシがゴールライン際まで切れ込んでからくれたパスに合わせるも、またもゴルカが至近距離からセーブ。嗚呼、ゴルカ頑張りすぎ。
さらに55分には右コーナーからピケがフリーで強力なヘディングシュートを放つのだが、これをイラオラがぎりぎりのところで頭でクリア。56分にはまたも右コーナーからアンリ、ピケ、エトーと連続でシュートチャンスを掴むも、ビルバオ守備陣が執念でこれらをブロックしている。最後のエトーシュートは、大きく枠の上。
まだ終わらない不運。65分にはプジョルの狙いすましたパスにエトーはゴール正面で合わせているのだが、今度こそ入ったかに思えたこのシュートも、無情にもクロスバー直撃。ここまでくると、こういう日はもう絶対に入らないものだ。
そして73分と77分には連続してアンリがシュートに失敗、あんたもか、とスタンドをどよめかせ、ショーの終わりもやっぱりエトー。87分、チャビのスルーパスに抜け出し、ゴルカと1対1の勝負に持ち込むのだが、力強く放ったシュートは左ポストに弾かれエトーは天を仰いだ。どんまい、そんな日もあるさ。試合後のエトーのコメント。「3時間やっても、ゴールは入ってなかったやろう」
そんなこんなで、スコアは2-0のまま終了。だが観客たちは久々に見た良いフットボルに満足し、何度も「うぃっ!」と立ち上がれたことを楽しんだ様子だった。最後、同時進行のベルナベウにてフンテラールが同点ゴールを決めたのは残念な知らせではあったが(1-1)、バルサとマドリーの差は再び6ポイントに拡大。バルセロニスモは何週間ぶりかに、平穏な日々を送れそうだ。ここから、3月の反転攻勢といきたい。
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