出番さえもらえれば仕事はやってのける、とボージャンが強烈に存在をアピールした試合。エリア内で守りを固める相手に、ゴレアドールとしての嗅覚を見せ付けた。チームとしての集中力、気合にも問題はなく、スランプはすでに脱したと言える。
前日にレアル・マドリーが勝利していたため、絶対に勝点3が必要とのプレッシャーの下で行われたこの試合。ペップはそんな脅しに怯むことなく、トリデンテのうち二人(アンリ&エトー)をベンチに置くという決断をした。このあたり、確固たる信念が伺える。
アルメリアの戦術は分かりやすかった。エリア内をがっちり固め、カウンター一発に賭ける。ダニ・アルベスにも自由にクロスを上げさせるくらいに、とにかくゴール前に人を割いていた。故にバルサはボールを余裕をもって回せるのだが、エリア内は超密集地帯。最後の仕上げに苦労させられた。そしてGKディエゴ・アルベスの大活躍。前半の彼は、全てを止めるオーラを出していた。
バルサ最初の決定機は10分だった。イニエスタのパスにアルベスが抜け出し、ライン際までえぐってセンタリング。これはDFに弾かれるのだが、こぼれ球がゴール正面のケイタに渡るのだ。ケイタはフリーで強烈なシュートを放つ。しかしこれはディエゴの右手に阻まれた。
続くチャンスは26分、メッシとのコンビネーションから放たれた、ダニ・アルベスのシュート。これはわずかにポスト左に逸れている。35分にはチャビの浮き球スルーに抜け出したメッシが至近距離からシュート。だがこれも、DFアカシエテの懸命のブロックによって阻止されている。
40分を越えた頃からは、バルサの怒涛の攻め。41分には右に展開していたイニエスタが、ドリブルでエリアに侵入し鋭いシュートを放つのだが、これも再びGKアルベスがなんとかクリア。さらにアルベスは43分にメッシの獰猛なるフリーキックを弾き出し、44分にはピケの入ったと思う率95%ヘッドまでもを止めてみせている。神懸っていたといってもいいだろう。
アルメリアは唯一33分、縦パス一本でクルサが抜け出し、バルデスと1対1の場面を作り出しているのだが、トゥレを引き連れての全力疾走に疲れたのか、狙ったバセリーナは大きく枠を外している。これが彼らの前半ただひとつのシュートだった。
そして後半、アルメリアの守りに存在感を失っていたボージャンが、輝いてみせた。それまで姿が見えなくとも、ここぞでゴールを決めるのはさすがゴレアドールである。しかも畳み掛けるように、2得点だからやるもんだ。
最初のゴールは、53分に訪れた。メッシとイニエスタがエリア内密集地帯でワンツーを決め、メッシは狙い澄ましたシュートを放つ。これは惜しくも左ポストに跳ね返されるのだが、それをボージャンが拾い、ゴール内へと流し込んだのだ。身体を投げ出すGKアルベスも、間に合わず。嬉しい嬉しい、今季リーガ初ゴール!
2点目は、すぐに訪れた。56分、アルベスがドリブルで持ち込み、エリア内にちょいっとスルーパス。走りこんだメッシからボールを受けたイニエスタがさらに左でフリーだったボージャンへと回し、ケルキッチ少年はフェイントでマークをかわしつつ、シュートを放った。ボールはDFに当たるのだが、これが逆にいいループになるのだから、勢いってのは素晴らしい。
2点のリードを奪ったことで、バルサの勝利はほぼ確定した。あとはアルメリアが出てくるのを待ち、生まれたスペースにボールを送り込んでいけばいいだけ。バルサはアクセルを緩めてじっくりとボールを回し、そのまま相手をいなして逃げ切った。これにて、公式戦3連勝。マドリーの圧力をものともせず、ローテーションを実行しつつ敵地でしっかり3ポイント獲得ことで、チームはますます自信を深めたろう。強いバルサが戻ってきた。そう印象付けるゲームだった。
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