ド派手で爽快、スペクタクルなバルサが戻ってきた。シーズンの最重要期を前にして、この復調ぶりは心強いかぎり。2月のスランプはすでに完全なる過去となり、チームは確固たる自信を取り戻している。この選手たちなら、必ずや偉大な成果を残してくれる、と信じるに足るプレー。あとの懸念は怪我人だけなのだが、その不安が形となって現れた試合でもあった。
今回の相手は、曲者マラガ。UEFA圏内6位となかなかの成績を残しているだけに、注意が必要と思われたが、そんな心配もバカバカしいほどに簡単な立ち上がりとなる。マラガはバルサに猛烈なプレスをかけるでもなく、エリア内でがっちがちに守るでもなく。どことなく中途半端な作戦で向かってくる彼らに、バルサが苦労するはずもなかった。
プレッシャーのないチャビとイニエスタほど、手のつけられないコンビはいない。ゲーム作り、パス展開、スルーパス、飛び出し、やりたい放題。先制点もそのチャビのエリアへの抜け出しからだった。19分、エトーからの長いスルーパスを受けたチャビが、セントラルの間を割ってするりとエリア内へ侵入し、左足シュートを突き刺したのだった。
これで乗ったチャビは、続けざまに2つ半のゴールをアシストする。まずは25分、チャビからの大きなパスを受けたメッシが胸トラップ後、稲妻ドリブルにて単独突破を仕掛け、そのままデフェンサたちをものともせずにズドンと右足。細かくボールタッチ、狭い地帯を一瞬で抜けるドリブル、体勢を崩しながらの右足のシュート。恐るべし、メッシ。
チャビのご機嫌は止まらない。続いて、32分にはアンリへの、これまた絶妙なスルーパスを繰り出すチャビ。あまりのスピードに、マラガ守備陣はオフサイドかと完全に動きを止めていた。アンリはGKゴイティアを難なくかわし、無人のゴールにボールを流し込む。この日のアンリはプレーに余裕があり、非常に好調な様子がうかがえた。
メッシ、アンリとくれば、あとはもうエトーしかない。カンプノウ全体が、エトーのゴールを期待していた。そしてその瞬間は、前半終了間際に訪れる。44分、またもチャビ(エリア正面)からの右斜めスルーパスを、エトーがズバンとダイレクトに叩き込むのだ。ゴイティアの股を抜く、鋭いシュートだった。リーガでは実に36日ぶりの、エトー弾。前半だけで、4-0。バルサらしい、スペクタクルな45分だった。
そして後半。スコアがスコアだけにギアを落としてくるかと思えたバルサだったが、そうではなかった。さらにフィエスタを完全なものとすべく、青えんじ軍団は一気に畳み掛けたのだ。効果はすぐに現れた。51分、チャビがやるなら俺もとばかり、イニエスタがふわりと気の効いたパスをエリア内に供給。それに“伏兵”ダニ・アルベスが飛び込み、芸術的な頭によるループシュートを決めてみせたのだった。なんてゴール!美しい、実に美しい。
ゴール祭りはそれでも終わらなかった。最後のゴールは56分、波状攻撃によるものだった。シルビーニョの獰猛なるシュートはゴイティアによって弾かれるものの、それを拾ったアンリがダイレクトに中央のエトーへとパス。“9番”はこれをただ流し込むだけだった。
6-0となり、さすがにここでバルサはギアを落とすことになる。それにより、マラガにもチャンスが生まれ、バルデスはにわかに忙しくなっていた。60分と67分に相次いでイニエスタとチャビを交代させたことで中盤はほぼ存在しなくなり、非常にオープンな試合になったのだ。ボールはせわしなく両陣営を行き来し、ドタバタした展開に。際どい場面も何度かあったが、バルサはなんとか無失点で切り抜けることに成功した。カセレスはスピードでアピール。
このゲーム、唯一のネガティブ要素は怪我人だった。交代した3選手は、いずれも身体にダメージを受けてのもの。前半に退いたトゥレ・ヤヤ、そしてイニエスタはいずれも全治2週間。チャビもまたアキレス腱を少々傷めたようで、大事をとって休ませている。幸いにも、次週は代表ウィークでバルサとしての試合はなし。ゆっくり休み、チャンピオンズに備えてほしい。
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