「バジャドリは唯一、自分たちのスタイルでバルサに向かってくるリーガのチームだ」とのペップ・グアルディオラの言葉のとおり、ホセ・ソリージャでのバジャドリは勇敢であり、強かった。
FIFAウィーク直後であり、なおかつバイエルン戦直前という、メンバーのやり繰りが非常に難しいこの試合、ペップはベンチにメッシ、アンリ、アルベスを置く決断を下す。ペドロは第2節ラシン戦以来の先発出場だ。
立ち上がりは両チーム共に集中し、非常に早く激しいテンポで進んでいった。猛烈な勢いでプレスをかけてくるバジャドリ、それに負けないリズムで応じるバルサ。ボールは基本的にバルサがコントロールするも、相手の寄せが速くて自由にさせてはもらえない。チャンスを作れたのは数度で、いずれも単発的。11分のペドロによる突破と至近距離シュート、23分のイニエスタの浮き球パスに飛び出したエトーは惜しかったが、GKアセンホの壁に阻まれている。
だが、辛抱強く攻めたバルサが報われる時は訪れる。40分、エトーが前線のプレスでボールをカットすると、チャビとワンツーパス交換。エリア内に侵入し、出てくるアセンホを冷静にバセリーナで攻略、先制点をゲットした。これがピチーチ独走男のゴール嗅覚だ。
この得点により、バルサは気持ちにぐんと余裕が生まれた。逆にバジャドリは、やや意気消沈したようだった。ハーフタイムを前にして、主導権は俄然バルサ側に移動。42分にはイニエスタがひらりひらりと守備陣をかわし、あわやというシュートを放っている。これは残念ながら、アセンホの横っ飛びにクリアされた。
そして後半。バルサは49分にまたもイニエスタが左サイドで見せ場を作るも、徐々にペースはバジャドリ側に傾いていく。54分には巧みなパス交換からアギーレが、58分にはイニエスタばりの突破でバルサ守備陣を切り裂いたエスクデロに冷や汗ものの場面を作られるのだが、これらはどうにかバルデスの攻守で事なきを得ている。これはいかんと、ペップはここでメッシとアルベスを投入、流れを引き寄せようとする(59分)。
この交代によって、バルサは幾分ポジショニングを修正し、ボールを持てるようになった。しかしバジャドリはまだ勝負を諦めない。満員のスタンドが、彼らの攻めを後押ししていた。果敢にバルサ陣内に攻め込むバジャドリ、そうはさせまじ、と跳ね返すバルセロナ。白熱の展開が続く。そんななかバルサは75分、ボール処理に手間取っている瞬間を見逃さず、イニエスタがするっとボールを奪ってエリア侵入、シュート。惜しくもこれは、ポスト左に流れた。
バルサは2点目が奪えず、勝負を決めてしまえない。バジャドリの闘志は衰えることなく、彼らは同点を目指してとにかくバルデスの守るゴールへと向かい続けた。だがバルサとてここで星を落とすわけにはいかず、冷静にひとつずつバジャドリの攻撃を摘んでいく。何度かヒヤッとする場面はあったが、集中力は最後まで失われず、そのまま無失点でゲームを終えた。
マドリーはまたも彼ら流の結果優先方式によって勝利を手にしているが、ポイント差は6のまま、残り試合数は9となった。また一歩、リーガ制覇に前進。3日後に控えるチャンピオンズ・バイエルン戦に向けても、弾みのつく勝利となった。
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