バイエルンとの2試合に挟まれた、降格圏周辺をさまようレクレアティボをカサに迎えての、復活祭休みのために観光客>地元ファンといった状態のいつもとは雰囲気の異なったゲーム。水曜日に素晴らしいプレーをした後だけに、“ヨーロッパ酔い”の程度が注目された。
スタメンは予想されたように、ローテーションが採用された。チャビ、プジョル、エトー、トゥレ、ピケらが外れ、カセレス、ボージャン、グジョンセン、シルビーニョ、ブスケに出番が回る。普段控えの選手たちにとってはチャンスだったが、幸か不幸か、あまりにもあっさり、先制点が決まるのである。開始数十秒、フェイントからの一気加速により左サイドを突破したアンリがクロスを供給、ニアにボージャンが競り合いでつぶれ、こぼれたところを正面のイニエスタが難なく押し込んだのだった。
元々、省エネで勝てれば万々歳のゲームであったし、ヨーロッパ戦の後だけに緊張感も途切れがちな状況。しかもそれだけ簡単にリードを奪えたとなれば、あとはのんびりやることになる。日程次第ではゴレアーダだったろうが、この日のバルサには攻めまくる必要はなく、非常に緩いプレーに終始していた。
よってプレスは弱く、パスにもいつもの精度やスピードはない。レクレはさほど苦労せずにバルデスの前に迫ることが可能で、もっと決定力のあるチームであれば、バルサは泡を食っていたかもしれない。6分にはコーナーからの一連のプレーでナジャールに決められかけるも、至近距離にてバルデスが気合のセーブ。前半20分までにコーナーを4回も取られているところからも、緩さはうかがえる。
攻撃面では、チャンスはあるにはあったが、得点の匂いがするものは数えるほど。32分、アルベスのクロスに選手3人(アンリ、ボージャン、グッディ)が飛び込む場面、38分のマルケスのヘッド、41分のボージャンのミドルシュートなどはあったが、いずれもさほど脅威とはなっていない。美しかったのは43分、右にいたアンリからグジョンセンにスルーパスが送られ、折り返しに中央のボージャンが合わせるも、これはブロックに遭い、こぼれたところでメッシが鋭いシュートを打ち込んだプレー。惜しくもこれはモリスによって弾かれている。
後半になっても、バルサがリズムを上げてくることはなかった。52分にはボージャンが惜しいミドルシュートを放ったものの(GKリエスゴが弾いてコーナー)、8分にはバルデスもまたひと仕事させられており、勝利を確信できない状況が続く。そこでペップは60分すぎから連続して選手交代を行い、ゲームを引き締めようとした。出番となったチャビは、本当は完全に休ませたかったところだろう。
それによって、プレー内容は改善された。62分にはアルベスのクロスが弾かれたところを、左で拾ったイニエスタがコースを狙ったシュート。しかしこれはリエスゴの好セーブに阻まれている。64分には、またもイニエスタ。メッシとのワンツーで抜け出し、横パスをアンリへ送るのだが、オフサイド判定でティティのゴールは無効となっている。
しかし波に乗るカンペオンには、運も味方する。67分、またまた左サイドのイニエスタがスラロームドリブルで切れ込んでいき、鋭いパスを送り込むのだが、これをカットしようとしたモリスが痛恨のオウンゴール。これにより勝利はほぼ決定付けられ、安心したスタンドからは歌も聞こえるようになっていた。
その後、80分にはカサードのハンドによって得られたペナルティをメッシが外したり、82分にエルセン・マルティンのゴールがオフサイドで取り消されたりするなどしつつ、ゲームはそのまま2-0で終了した。
後々には、2-0で勝利したことだけが記録され、特になにも思い出すことのないであろうゲームだった。しかし重要なのは、ヨーロッパ酔いを最小限に抑え、きっちりと3ポイントを獲得したことにある。カンペオンを目指すため、必要最低限はやり遂げた。翌日に試合を控えるマドリーから、バジャドリがポイントを奪ってくれれば最高だ。
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