難しいスタジアムでの、難しい試合だった。相手ポルテーロ、ストイコビッチによる好セーブ連発。トゥリエンソ・アルバレス主審の幾つかのミスジャッジ。そして後半になり、激しく打ちつけた雨。展開はバルサにとって、決して歓迎されたものではなかった。しかしそれでも忍耐を失わず、3ポイントを確保するのがカンペオンとなるチーム。本日のバルサは、まさにそれだった。
リーガ残り8試合中、6つに勝利すればタイトルが決まるFCバルセロナ。つまりチャンピオンズ・チェルシー戦までのリーガ3連戦にその半分が懸かっているわけで、鬼トゥールマレ入り口となるこのヘタフェ戦の持つ意味合いは大きかった。当然ペップ・グアルディオラはローテーションは採用せず、ベストメンバーを送り込んでくる。変更はピボッテにブスケを置いたこと、左ラテラルがアビダルではなくプジョルだったことくらいか。
ゲームの入り方こそ慎重なバルサだったが、プレーには非常に集中できていた。組織的に守備を固めるヘタフェを相手に、序盤から決定的なチャンスをいくつも作り出すバルサ。内容はほぼ申し分ないものであり、あとはゴールさえ入っていれば・・・と惜しまれるが、敵守護神ストイコビッチがこの日は大当たりしたのは不運だった。何故に相手ポルテーロは、バルサ戦でいつも爆発するのか。
まずは4分、イニエスタからメッシへの鋭いスルーパスはデフェンサにカットされるが、こぼれ球に詰め寄ったアンリが至近距離からのシュート。これをストイコビッチは、横っ飛びで弾き出した。これで彼は勢いがついたのだろう。続いて14分、スルーパスからティティは再度1対1となるも、オフサイドを気にしてか、緩いシュートをポルテーロは余裕のキャッチ。そして17分のカウンター、チャビのスルーパスにアンリが抜け出すも、壁となり立ちはだかったストイコビッチの右足によりボールは弾かれている。
だがバルサは、そんなことでは諦めない。直後の19分、エトーのパスをエリア右に飛び出したチャビが受けると、中央のメッシへとセンタリング。メッシはデフェンサ3人を引きつけながらも巧みなボールキープであしらい、最後にはネットを揺らしてみせるのだった(0-1)。
待望の先制点をゲットしたバルサは、前半の残り時間もゲームを支配し続ける。ゴールチャンスも盛りだくさん。22分にはエトーのヘディング、27分にはピケのチレーナ、41分にはメッシのコースを突いたシュート。このうち後の2つはいずれも決定的であり、ストイコビッチのパラドンがなければ、普通に決まっていた。内容はバルサが圧倒していた。
後半、ビクトル・ムニョスは反撃のために中盤にグラネロを投入。幾分、積極的に前に出るようになる。バルデスに脅威を与えることはそうなかったのだが、少なくともヘタフェ側ピッチでプレーが行われる回数は減った。ドタバタした展開とはいえ、ゲームは拮抗したものと変化。それに伴い、スタンドのファンの応援にも熱が入るようになり、ヘタフェはエネルギーをもらうことになった。
となると、アクシデント的な失点も否定することは出来ない。バルサはどうにかして、勝利を決定付ける2点目がほしかった。それが訪れたのは、80分。ケイタのミドルシュートをストイコビッチが弾き、こぼれ球をメッシが押し込んだのである。しかし、なぜか主審はこれをオフサイド判定。この日はそれまでにも2度、メッシの突破がオフサイドにもなっていたし、前半にもエトーとメッシに対するペナルティ性のタックルが見逃されてもいる。ヘタフェ有利のジャッジがいくつも見られたゲームだった。
なにくそ、とバルサはその後も2点目を狙っていく。だが、どうもゴール運のないゲームだったようで、39分のエトーのシュートはわずかにポスト左に逸れ、44分のエトー弾もまた、左ポストに阻まれている。後者は特にストイコビッチと1対1、普段なら余裕で決めていたシュートだっただけに、今回はエトーの日ではなかったと笑うしかない。わはははは。
ゲームは無事、事故が起こることなくそのまま0-1で終了している。もう少し運があればゴレアーダとなり、省エネも出来ていたところだが、まずは3ポイント確保を祝福するとしよう。忍耐強くプレーした選手たち、よくやった。カンペオンへ向けてまた一歩前進。鬼トゥールマレに向け、弾みのつく勝利となった。
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